今回はSamsungのフラグシップスマホ「Galaxy S24 Ultra」をレビューする。大まかなデザインやカメラ構成はこれまでのGalaxy S23 Ultra、Galaxy S22 Ultraと変わらないが、微妙かつ確実に進化していた。
この記事ではデザインやサイズ感、ベンチマーク性能やカメラの画質比較など2世代前のGalaxy S22 Ultraとも比較しながらレビューしていく。最後までご覧いただきたい。
2023年がAI普及の始まりだったおかげかGalaxy S24 UltraはAIに力を入れている。精度はまだまだ上げられるだろうが、そこそこ使える機能だ。
Galaxy S24 Ultra、それは新時代のスマホだ。
なお、Galaxy S24 Ultra関連のブログ記事やYouTube動画を作成したらこの記事に追記していく予定。追記したらTwitterX(@m_ten_pa)でも発信するので、こちらもチェックしてほしい。
Galaxy S24 Ultra関連のYouTube動画
Galaxy S24 Ultraのスペック
Galaxy S24 Ultraのベンチマークスコア
Galaxy S24 UltraはSoCとして「Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxy」を採用、先代に比べてCPU性能が20%、GPU性能が30%、そしてAIの性能が41%も向上しているとのこと。
もう一般人にとっては無用の長物といってもいいが、長期間、快適に使い続けるならスペックは高いに越したことはない。
ということでAntutuスコアなどのベンチマーク測定をしたので結果を紹介する。
Antutuスコアは190万点前後のハイスコア
Antutuベンチマークを3回連続で測定してみた結果が上の通りで、回数を追うごとにスコアは下がって入るものの190万点前後という超ハイスコアに。
一応、REDMAGIC 9 Pro+など他のSnapdragon 8 Gen 3端末では200万点を優に越すことも多いが、Galaxy S24 Ultraはギリ超えるくらい。
測定が冬ということもありスタートが22.2℃だったが、1回目の測定で32.1℃まで上昇、3回目の測定では37.2℃まで上昇した。40℃に達しないあたり温度制御が早めに働いているっぽい。
Geekbenchスコアも桁違い
Geekbench6で測定した結果が上の通り。CPUのシングルスコアとマルチスコア、GPUのスコアを他の端末との比較が以下。他の端末との比較が以下。
他のスマホと比較するとわかりやすいように、前作のS23Uのスコアを優に超えている。特にGPU性能は今回の結果では2倍近いスコアなのでその進化がわかるだろう。
3D Mark Wild Life Unlimitedのスコアは4807
3D Mark Wild Life Unlimitedのスコアは4,807でGalaxy S24 Ultraの発売当初ではランキング3位という高スコア。
さらにSolar Bayのスコアも8,498とはスコア。上にはまだ上がいるがそれでも大画面かつGalaxyの最高のUIでここまでの性能は圧巻。
ただ、高負荷の処理を続けると暖かくなってスコアが落ちたりfpsが落ちたりする。ここは仕方ないが、爆熱SoCの8 Gen 1に比べるとかなり発熱は抑えられている。
チタンボディとフラットディスプレイを搭載した外観
Galaxy S24 Ultraのデザインは前作に比べて大きな変更はなし。ただ、素材やディスプレイに変更があるのでその点も見ていく。主に変わったところは以下。
- 側面フレームにチタンを採用
- フラットディスプレイを採用
- Gorilla Armorを採用し反射が抑えている
インターフェースはこれまでのUltraと同じ
まずはGalaxy S24 Ultraの各種インターフェースを見ていく。背面はここ数年のUltraシリーズと同じ4眼カメラ+1つの深度センサーの構成。
背面の下部にはSamsungロゴがあり、おそらく国内版もSamsungロゴになるだろう。
あとでも触れるがディスプレイは6.8インチの大型のフラットディスプレイで、上部にパンチホールインカメラとその上にスピーカー搭載。相変わらずの大画面。
前作のGalaxy S23 Ultraよりベゼルは細くなったとのことだが、もはや誤差レベルなので物好きしか気づかない。
ディスプレイを正面にした時の右側面には音量ボタンと電源ボタンを搭載。Galaxy S24 Ultraは画面内指紋認証なので電源ボタンはただのボタン。
反対の左側面には何もなし。
上部にはマイク穴と耐水性能を上げるための空気穴(らしい)。
⇨Second hole on top - Samsung Community
下部にはSIMトレイとマイク穴とUSB Type-C端子とスピーカーとSペンを搭載。
次で紹介するようにS22 Ultra以降のUltraシリーズとほぼ同じデザイン。これが今のGalaxyの完成系。
デザインはS23UとS22Uとほぼ同じ
大まかなデザインはS23 UltraやS22 Ultraと同じで、角張った四角形の左隅にカメラのレンズだけある背面。もちろん色味が異なったりカメラのレンズの出っ張り具合が異なったりするが基本は同じ。
ただ、次で紹介するようにフラットディスプレイになったことで背面から側面に向かうカーブがより角張った。S22 Ultraはがっつりエッジディスプレイだったので滑らかに繋がっていた。
なので裸で使う時はもちろん、ケースを使用するときでも角張ったデザインを感じられるだろう。
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チタンフレーム採用で傷に強いデザイン
Galaxy S24 Ultraのデザインの魅力の一つが側面にチタンを採用したということ。そう、iPhone 15 Proシリーズのパクリ。まあこの短期間でパクってくるんだから元から24Uはチタン採用だっただろうが。
チタンフレームを採用することで傷に強くより重厚感がある見た目になる。さらにiPhone 15 Proとは異なりチタンフレームの指紋がかなり目立たない仕様。
高級感とトレンドと頑丈さを備えたフレームは魅力的だが、結局ケースをつけて運用するからほぼ意味ない。ただの話題作りってことに毎回気付かされる。
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フラットディスプレイ採用で誤タッチが減少
今のベースデザインとなったGalaxy S22 Ultraはエッジディスプレイで次作のGalaxy S23 Ultraはちょっとラウンドが和らいだもののエッジディスプレイだった。
しかし、今回のGalaxy S24 Ultraは完全フラットディスプレイになったので誤タッチが減るということでいろんな人が歓喜の声を上げている。
手の馴染み的にはラウンド形状のエッジディスプレイの方がいいし、画面の奥に沈み込む感じの迫力はエッジディスプレイに軍配が上がる。
ただ、手のひらがエッジにあたることでの誤タッチやSペンで端を描こうとするとエッジに落ちるという実用面ではフラットディスプレイに軍配が上がる。
執筆者はエッジディスプレイが好み。
Gorilla Armorはフィルムを貼れば無意味
Galaxy S24 Ultraのフラットディスプレイはガラスに「Corning Gorilla Armor」を採用。前作のS23 Ultraよりも傷がつきづらいとのこと。
さらにGorilla Armorは画面への反射がかなり抑えられているのも魅力の一つ。もちろん少しは反射するが、これまでのスマホやパソコンなどのディスプレイの反射と比べると圧倒的に反射が抑えられている。
ただ、結局ディスプレイも保護フィルムを貼るから反射の抑制効果は感じられない。ミドルレンジスマホなら裸運用しても良い気がするが、フラグシップの20万円オーバーのスマホを裸運用するのはブルジョワしかいない。
もうスマホの進化は頭打ちだからソフト側にシフトするが多くの人はソフト側のメリットはわからない。だからハードを強調したいがもうコスパの良い弾がない。ってことでインパクト重視のチタンと反射抑制。もはやトラップ。
カラーリングは合計7色展開
ただ、カラーラインナップはかなりポップになった印象。フラグシップなのでダークな雰囲気というのはiPhoneがメジャーなところだが、Galaxy S24 Ultraは暗めのカラーから明るめのカラーまで揃っている。
今回レビューしているのはチタニウムイエローという通常カラーで一番ポップなカラーだが、オンライン限定(Global)だと黄緑とオレンジもあるので、より多くの人を取り込みたいのだろう。
これまで色でモヤモヤしていた人はこの機会に色々と悩んでほしい。
フラットディスプレイだがガラスフィルムは非推奨
Galaxy S24 Ultraはフラットディスプレイを採用したので保護フィルムでペラペラのTPUフィルムではなくガラスフィルムが使えると思っている方も多いだろう。ただ、ガラスフィルムを貼るのは注意してほしい。
というのも下手なガラスフィルムを貼ってしまうと指紋認証が使えなくなるから。執筆者はそのせいで初めに貼ったガラスフィルムを速攻で剥がした。
もちろんガラスフィルムを貼った状態で新規で指紋認証を登録しようとしたが、そもそも登録の時点で指紋を認識しなかった。ちゃんと登録しても30回に1回くらいの頻度でしか認証しなかった。
ということでGalaxy S24 Ultra用の保護フィルムを購入するなら以下の3点に注意してほしい。
- 有名どころで買う
- ガラスフィルムなら指紋認証対応を買う
- TPUフィルムを買う
幸いなことに保護フィルムは高くても2,000円台なので失敗してもそこまでダメージはないが、それでもお金と労力がかかるので慎重に選んでほしい。
執筆者が購入したフィルムは以下。アンチグレア(上の画像)は思った以上にアンチだったから剥がした。今はガラスフィルムの方を使っている。
AI機能関連の機能はまだまだ未成熟
2023年はAIがスタートした年で2024年は本格的にAIをスマホに取り入れ始めている。ということでGalaxy S24 UltraもAI関連の機能が使える。
といってもまだまだできることが限定的かつ精度も微妙なことが多いが、それでも今のうちからAIに触れておくことは先行者利益という観点からは重要だろう。
Galaxy S24 Ultra登場初期に使える機能は下記。
- 電話:リアルタイム音声翻訳
- Samsungキーボード:翻訳・スタイル変更・スペルチェック
- 通訳:画面分割で自動通訳
- Samsung Notes:ノートの自動要約・フォーマット
- ボイスレコーダー:文字起こし・要約
- Samsungブラウザ:要約・翻訳
- フォトエディター:画像の切り抜きと移動・背景の自動生成
- 囲って検索(OS組み込み?)
文章の要約と翻訳、画像の生成という今までのAI機能がメインだが、これらをWebサイト上やサードパーティ性のアプリを使わずに純正アプリでそのまま使用できるのは強み。
以下では簡単に使えそうなAI関連の機能を紹介する。
囲って検索(Circle to Search)
「囲って検索(Circle to Search)」は画面の下を長押しすることで簡単に画面上の物体を検索できる機能。Googleレンズでも同じようなことはできるが、囲って検索の場合はいちいちアプリを起動しなくても使えるのが魅力。
一番わかりやすいのが写真検索で、写真を開いて囲って検索するとすぐに囲った部分のGoogle検索が可能。精度はまだまだだが簡単に調べる分には使えそう。
写真の被写体移動とAI補完
写真アプリ(ギャラリーアプリ)にも新しい機能が搭載され、写真の中の被写体を移動したり消したりできる機能、要するにGoogle PixelシリーズのGoogleフォトの消しゴムマジック的なことができるようになった。
これも囲って検索と同じようにいちいちGoogleフォトを介さなくても写真アプリですぐに使えるのが魅力的。
試しに鹿の画像をタップすると背景の土と鹿をちゃんと認識して移動できる。移動した後は元いた場所の背景をAIが自動で補完してくれる。
鹿と同じような色の土をちゃんと見分けて、良い感じに土を作ってくれるのでかなり面白い。
ただ、使うなら人が多めのところがメジャーだろうが、そういう都会では被写体が多いのでなかなか使いこなすのが難しい。ライトな写真編集として活用はできそう。
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Samsungキーボードの入力アシスト
Galaxyスマホ標準のSamsungキーボードではチャット文章の翻訳や入力中の文章の翻訳とスタイルの変更などが可能。
なお、翻訳機能についてはGalaxy S24 Ultra登場時点で対応しているアプリがほぼないので注意。今回はInstagramのDMで試してみる。
自分が入力した内容を選択して翻訳する機能はクイック的には使えそう。
実際に文章のスタイルを提案してもらったのが下の画像。プロフェッショナルやカジュアル、SNS投稿風など5種類にレパートリーから変更できる。
スペルミスを修正してもらうと以下のような感じで青線部分が修正箇所。短い日本語の文章だとそこまで効力を発揮しないが、
英語だとスペルミスを修正してくれるし、日本語のタイプミスもいい感じに修正してくれる。ただ、おじいさんとおばあさんを漢字にしているあたり、思った以上の精度は高くない。
また、明らかにおかしいだろって文章も修正対象にならない。まあ文法的に間違っているわけではないので仕方ないが。
Once upon a time, there was an old man and an old woman. The grandfather went to the river, and the grandmother went to Onigashima to defeat King Ghidorah.
昔々、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは川へ、おばあさんは鬼ヶ島へキングギドラを倒すために行きました。
ボイスレコーダーで文字起こし
純正のボイスレコーダーアプリで録音した内容を文字起こしする機能も搭載。これはGoogle Pixelシリーズが搭載している機能でGalaxyでも使える。
しかし、精度はまだまだ低く、執筆者の滑舌や録音の内容も難ありだがうまく翻訳(文字起こし)してくれなかった。
ここはビッグデータを持っているGoogleとの違いが顕著に表れている。
Samsungブラウザで記事の要約
Samsung純正のブラウザのSamsungブラウザでは今のWebページの要約と翻訳が可能に。実際に執筆者の下記の7,000文字ほどのブログ記事を要約したのが上の画像。
要約は標準の要約と詳細を残したまま要約の2種類がある。標準の要約はあまりにも要約しすぎている。
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この機能を使えば記事の内容をざっくりと把握した上で本文を読むことで内容が理解しやすくなるだろう。
なお、Chrome系のブラウザではKiwi BrowserとChatGPT関連の拡張機能を入れればSamsungブラウザでなくても要約できる。Kiwi Browserについては下記のブログ記事・YouTube動画参照。
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2025年には有料になるかもしれない
Samsung Galaxy S24 Ultra(サムスン ギャラクシーS24ウルトラ)| Samsung Japan 公式
と、ここまでGalaxy S24 Ultraで使えるAI関連の機能を紹介したが、これらの機能は2025年以降は有料になる可能性が示唆されている。
というのもGalaxy S24 Ultraのページの注釈に上の画像の文が記載されているから。
Galaxy AIは、対応するGalaxyデバイスで2025年末まで無料で提供される機能です。 第三者が提供するAI機能には、異なる条件を適用するかもしれません。
Samsung Galaxy S24 Ultra(サムスン ギャラクシーS24ウルトラ)| Samsung Japan 公式
もちろん変更の可能性はあるだろうが、思いっきり言い切っているので2025年末で無料公開が終了する可能性は高い。まあその時には次のAI機能が搭載されているだろうからそこまで気にすることはない。
それに2025年末にはもう無料でかなりAIが使えるだろうから無理に有料版に乗り換える必要はないと踏んでいる。ただし、未来を知るのは神だけ。
Galaxy S24 Ultraは18時間バッテリー
PC Mark for Androidでバッテリー100%から20%までにかかった時間を計測すると18時間3分という結果となった。リフレッシュレートは可変、輝度は自動調節にしていた。
一つの参考に過ぎない、使用するアプリや画面の点灯回数などに大きく依存するがこれは驚異的なスコアだろう。
実際に普段使いしていてもバッテリーが減る速度はかなり遅いので、バッテリーは一日中もつだろう。
Galaxy S24 Ultraのカメラは確実に進化
Galaxy S24 Ultraは前作と同様に4つのカメラを搭載したクワッドカメラ構成。基本的には今までと同じだがS24 Ultraは望遠レンズの一つが10倍望遠から5倍望遠になり、解像度も10MPから50MPに変更された。
正直10倍ズームを使用するシーンはほぼないので個人的には5倍望遠の方が使いやすいが、そもそも2倍と3倍望遠くらい十分な気もする。
Galaxy S24 Ultra | Galaxy S23 Ultra | Galaxy S22 Ultra | |
---|---|---|---|
超広角 | 光学0.6倍 12MP(1/2.55型 f2.2) |
光学0.6倍 12MP(1/2.55型 f2.2) |
光学0.6倍 12MP(1/2.55型 f2.2) |
広角 | 光学1倍 200MP(1/1.3型 f1.7) |
光学1倍 200MP(1/1.3型 f1.7) |
光学1倍 108MP(1/1.33型 f1.8) |
望遠1 | 光学3倍 10MP(1/3.52型 f2.4) |
光学3倍 10MP(1/3.5型 f2.4) |
光学3倍 10MP(1/3.52型 f2.4) |
望遠2 | 光学5倍 50MP(1/2.51型 f3.4) 最大100倍ズーム |
光学10倍 10MP(1/3.5型 f4.9) 最大100倍ズーム |
光学3倍 10MP(1/3.52型 f4.9) 最大100倍ズーム |
インカメラ | 12MP f2.2 | 12MP f2.2 | 40MP f2.2 |
この記事では2世代型落ちのGalaxy S22 Ultraの写真と比べながら紹介する。買い替えを検討している人はチェックしてほしい。
最大2億画素まで撮影可能
Galaxy S24 Ultraは前作のGalaxy S23 Ultraから採用されたメイン広角レンズの2億画素撮影まで可能。実際に選択できる画素数は以下の3種類。OneUI 6で画素数の選択がしやすくなった。
- 12MP(1,200万画素)
- 50MP(5,000万画素)
- 200MP(2億画素)
ズーム倍率はシームレスに0.1倍刻みで変更できるが、カメラアプリからすぐに操作できるのは最大で以下の7レンズ分。表示されていない場合はGood LockのCamera Assistantアプリから拡張可能。
- 0.6倍(光学ズーム)
- 1倍(光学ズーム)
- 2倍(デジタルズーム)
- 3倍(光学ズーム)
- 5倍(光学ズーム)
- 10倍(デジタルズーム)
- 30倍(デジタルズーム)
- 100倍(デジタルズーム/スペースズーム)
昼間はより自然体かつ安定的に撮影可能に
まずは昼間の0.6倍の超広角カメラでの撮影から。Galaxy S22 Ultraはいかにも空というような青が強めの色合いだったがGalaxy S24 Ultraでは少しナチュラルな色合いに。ダイナミックな画像になりやすい超広角カメラでやりすぎない派手さになっているのは使いやすい。
1倍の広角カメラも同じ傾向で、Galaxy S24 Ultraの方がより自然な色合いに仕上がった。ただ、ちょっと色味が薄くコントラストが低めにも見えなくもないので、これまでのGalaxyスマホのビビッドな感じが好みの人は注意してほしい。
続いては広角カメラの2倍デジタルズーム。デジタルズームになると色合いがかなり違うのがわかる。Galaxy S22 Ultraはより寒色よりでビビッドかつクールな感じ、Galaxy S24 Ultraは暖色寄りで自然な風合いで撮影できた。
3倍ズームはGalaxy S22 Ultra、Galaxy S24 Ultra両者ともに光学レンズを搭載しているのでどちらも光学ズームとなる。しかし、岸壁のテクスチャーがGalaxy S22 Ultraの方が精細っぽい。Galaxy S24 Ultraでは岸壁の質感が潰れてグチャッとなっている。
ここら辺はまだソフト面でのチューニングがちゃんとできていない可能性があるが、初期段階ではちょっと負けている。
Galaxy S24 Ultraから10倍望遠レンズが廃止され代わりに5倍レンズが搭載された。ということでGalaxy S24 Ultraは5倍光学ズーム、Galaxy S22 Ultraは5倍デジタルズームで比較する。
この場合もGalaxy S22 Ultraの方が岸壁のテクスチャーが残っている印象。ただ、建物の壁の質感がデジタル処理っぽい感じでガビガビになっているので、多少のガビガビを許してズームするのかガビらないようにしたいのかの好みになりそう。
続いては逆にGalaxy S22 Ultraが搭載している10倍レンズを基準に、S24 Ultraが10倍デジタルズームでS22 Ultraを10倍光学ズームにして比較する。
本来なら10倍光学ズームが可能なS22 Ultraの方が高精細なはずだが、S24 Ultraも肉薄するレベルでキレイに撮影できた。ソフト側の処理でここら辺の繊細さを保っているのかもしれない。
なぜかカメラアプリ上で選択できる30倍デジタルズームを比較すると、Galaxy S24 Ultraの方がより明るく撮影できている。しかし、Galaxy S22 Ultraの方が解像度が高めに見えるので、ここで10倍光学レンズの本領を発揮してきてる。
最後がGalaxy S22 Ultra、Galaxy S24 Ultraの両者の最大ズーム倍率の100倍(スペースズーム)。こちらもGalaxy S24 Ultraの方が明るめに撮影できている。
ただ、100倍ズームではGalaxy S24 Ultraの方が全体的にテクスチャーのガビガビが抑えられている印象。100倍ズームでガビガビになるよりボヤボヤでも認識しやすい方が使い勝手は良さそうだ。
ポートレートはかなり精度が高い
Galaxy S24 Ultraのポートレートモードで1倍、2倍、3倍、5倍望遠で写真を撮影したが、思った以上にポートレートの精度が高かった。上の画像が1倍。
被写体はおしゃれな街灯で細い針金のようなものが無数にあるにも関わらず、その間はちゃんと向こう側と認識してぼかしてくれた。
特にズーム倍率が上がるとその傾向が顕著で、上の2倍ズームと下の3倍ズームを比べると3倍ズームの方がよりポートレートでくっきりと判別された。
さらに5倍ズームの時はほんの小さな針金の隙間に映ったビルを遠くのものとして認識している。これはすごい。
まあズームずればするほど被写体のサイズが大きくなるのでポートレートしやすいってのはあるだろうが、それでも小さな隙間もいい感じに認識してぼかしてくれるのはありがたい。
なお、ポートレートは写真アプリ(ギャラリーアプリ)で被写界深度を変更可能。手前に街頭にフォーカスを合わせることはもちろん、奥のビルにフォーカスを合わせることも可能。
iPhone 15シリーズで実現できたことはGalaxyではずっと前からできていたからやっぱり私はGalaxy。
全体的に暗所に強くなった
まずは0.6倍の超広角からでGalaxy S22 Ultraでも悪くはないがGalaxy S24 Ultraはより暗い部分がはっきりと暗く写っているのがわかる。より明暗差をつけた写真を撮影したいならやはりGalaxy S24 Ultraが有利。
続いては1倍の広角だがこちらも超広角と同じように明暗差がよりくっきりと出るようになっている。もしかしたらSnapdragon 8 Gen 3のレイトレーシングが何かしら影響しているのかもしれない。かもしれないかもしれない。
続いては広角をデジタルズームした2倍を比較すると、Galaxy S24 Ultraはかなり寒色寄りに写っている。実際に見える景色はどちらかといえばGalaxy S24 Ultraに近いから、より現実に近くなるように補正されているのかもしれない。
続いては光学3倍望遠を比較してみるが、こちらもGalaxy S24 Ultraがかなり寒色寄りの写真に仕上がったのがわかるだろう。
また、Galaxy S24 Ultraの方がより細かいディティール部分が潰れづらくなっている。これは暗い部分だけではなく、写真下部の水の辺りの明るいところと暗いところがはっきりと分かれていることからもわかる。
Galaxy S24 Ultraの望遠2は10倍望遠から5倍望遠に変更されたのでこちらも比較しておく。Galaxy S24 Ultraは光学ズームの一方でGalaxy S22 Ultraはデジタルズームだ。
やはり光学レンズを搭載したGalaxy S24 Ultraの方がより鮮明に捉えられているのがわかる。ただ、色合いがブルーすぎるのでちょっと色褪せているようにも感じる。
Galaxy S22 Ultraの望遠カメラの10倍ズームで比較するとさすがに光学レンズ搭載のS22 Ultraの方がくっきり写っている。
しかし、S24 Ultraもかなりキレイに写っているので、普段使いの光学5倍ズームと特殊ケースのデジタル10倍ズームは正解な気がする。
総じてGalaxy S22 UltraからGalaxy S24 Ultraの2世代アップではカメラの性能が若干向上しているレベル。やはり暗所の撮影はスマホカメラではなかなか難しい。
デスク写真では若干ハデ目に
続いては夜に間接照明のテープレイトとデスクのバーライトだけ点灯させた状態のデスク環境の2倍デジタルズームでの写真を比較する。
まずは寒色系の上の画像からでGalaxy S24 Ultraの方が後ろの壁のディティールがなくなっている代わりに明るめに撮影された。
この傾向は下の暖色系のライトの時も同じで、Galaxy S22 Ultraで残っていた壁の模様がGalaxy S24 Ultraでは見えずライト部分が明るく見える。
ピンクと緑の2色のライトを点灯させて色味をはっきりと分けてみたのが下の画像で、Galaxy S24 Ultraの方がより明るくビビッドに撮影しているのがわかる。
ビビッド寄りなのはこれまでのGalaxyスマホと同じで、上の寒色系と暖色系の写真もビビッドといえばビビッド。
より明るくよりビビッドの傾向はグラデーション系のカラーでも同じで、Galaxy S24 Ultraの方がキツめに出ている。
が、全体的にデスク写真はGalaxy S24 Ultraの方が暖色寄りのカラーにできている。AIが自動的に暖色に合わせているのかもしれない。
スマホカメラはAI補正が大前提なので、この傾向も機種やソフトウェアアップデートで変わるだろう。
参考
⇨Galaxy S24「自然な色合いの写真」に方針転換、継続的なアップデートも確約で末永く使える高性能カメラスマホに | Buzzap!
⇨Samsung promises to improve Galaxy S24 camera shortcomings with updates - SamMobile
2億画素は見せかけだけで不要
Galaxy S24 Ultraの前作のGalaxy S23 Ultraからメインの広角カメラが最大で200MP(2億画素)に対応。より高精細な写真を撮れるようになった。
んだが、正直これは数字のマジックに過ぎず不要。クロップしまくっても高解像度な写真になるというメリットはあるものの、クロップする機会は少ないし全体的にボヤッとした印象なので使いづらい。
しかも容量が20MB近くあるから保存容量もかなり喰ってしまう。使い所が難しい見せかけだけの性能。
Galaxy S24 Ultraの動画性能
Galaxy S24 Ultraの動画性能についてはYouTubeチャンネルにて紹介しているのでそちらをご覧いただきたい。
FHD(1080p)60fpsだと動画撮影中に画角に切り替えが可能だ。
Galaxy S24 Ultraを使って感じた微妙な点
ということで最後にGalaxy S24 Ultraを使って感じた微妙な点を紹介する。いくらフラグシップでも微妙と感じる点はある。
謎のツートンカラーのデザイン
マジで謎なんだがGalaxy S24 Ultraシリーズのブラックとグレー以外は側面と背面で色が異なる。謎にツートンなので統一感がない。
当初、執筆者はチタニウムバイオレットを購入しようと思ったが、側面がゴールドでマジでダサいと感じたので側面と背面の色の違いが少ないイエローを選択。
限定色も謎のツートンカラーなのはやめてほしい。色を多く使っておしゃれと思うのはファッション上級者か中学生男子だけ。
裸運用しないと恩恵が得られないハードの進化
Galaxy S24 UltraはAIを中心としたソフト面の進化が顕著。ハード面も進化したがディスプレイのGorilla Armorの反射抑制は保護フィルムを貼れば意味なし、側面のチタンもケースをつければ意味なし。
iPhoneならガチ裸運用でもサマになるが、Androidはリセールがすぐに下がるので裸運用はハイリスク。結局ケースやフィルムを貼るのでハード面の進化を感じられない。
これからはより一層ソフト面に注力するだろうからますますスマホが売れなくなるだろう。
AI関連の機能が期間限定で無料
そんなソフト関連の目玉のAI機能が(確定ではないが)期間限定の無料機能。まあAI関連は開発から運用までお金がかかるから仕方ないが、一般人からしたら印象が悪い。
ただ、無料期間が2025年末なのでGalaxy S24 Ultraの登場から2年近い猶予があるので、その頃には新しいAI技術が登場しているだろう。そこまで悲観的にならなくていい。
正直もう完成されてる
とここまで微妙な点を書いてきたが、正直なところ微妙な点は些細なもの。もうGalaxyスマホは完成されている。あとはどれだけAIをスマホに組み込んで快適に使えるかが課題。
どんどん一般人のニーズからは離れているがそもそものターゲットがオタク or AIアーリーアダプターだから問題ない。
2024年はどんどんスマホにAIが組み込まれるだろうからこれから楽しみだ。
フラット・チタニウム・AI搭載の新時代のスマホ
ということで今回は2024年の大本命スマホ「Galaxy S24 Ultra」をレビューした。待望のフラットディスプレイにパクリのチタニウムボディ、そしてトレンドを抑えたAI機能を盛り込んだ新時代のスマホだ。
前作のGalaxy S23 Ultraとは大きく異なる部分は少ないが、10倍望遠が使いづらいと感じていた人やエッジディスプレイに嫌気がさしていた人はチェックしてほしい。
また、執筆者のようにAIに可能性を感じている人は是非とも店頭や実際に購入して新しい時代を試してほしい。