今回は話題の最新iPhone「iPhone 15 Pro」をレビューする。令和の2023年ようやくUSB Type-C搭載に伴いサイレントスイッチの廃止とアクションボタンの搭載。
99%の人類が待ち侘びていたiPhoneの最終進化系がiPhone 15 Proシリーズだろう。しかし、同時にiPhone 15 ProがこれからのiPhoneの幕開けを告げているのかもしれない。
本記事ではiPhone 15 Proのスペックやデザイン、カメラの作例を紹介しつつなぜiPhone 15 Proが始まりのスマホなのかにも触れていきたい。
iPhone 15 Pro関連のYouTube動画
iPhone 15 Proのスペック
項目 | 性能 |
---|---|
SoC | A17 Pro |
メモリ | 8GB / 128・256・512GB・1TB |
ディスプレイ | 6.1インチ |
有機EL | AMOLED |
最大輝度 | 最大輝度1,000ニト(標準) ピーク輝度1,600ニト(HDR) ピーク輝度2,000ニト(屋外) |
サイズ(高さ x 幅 x 厚さ, mm) | 146.6 x 70.6 x 8.25 |
重さ | 187g |
リフレッシュレート | 120 Hz可変(1~120 Hz) |
リアカメラ | 12MP超広角カメラ(f2.2) 48MP広角カメラ(f1.78) 12MP光学3倍望遠カメラ(f2.8) |
フロントカメラ | 12MP(f1.9) |
セキュリティ | 3D顔認証 |
バッテリー | 3,274mAh |
充電速度(有線) | 最大20W |
充電速度(ワイヤレス充電) | 15W(MagSafe) 7.5W(Qi) |
リバースワイヤレス充電 | 非対応 |
ガラス | Corning Ceramic Shield? |
防水 | IP68 |
おサイフケータイ | 対応 |
SIM | nano-SIM + eSIM |
MircoSD | 非対応 |
カラー | ブラックチタニウム ホワイトチタニウム ブルーチタニウム ナチュラルチタニウム |
価格(Apple直販) | 128GB:¥159,800 256GB:¥174,800 512GB:¥204,800 1TB:¥234,800 |
iPhone 15 ProのAntutuスコアは155万点
Antutuを3回連続で測定したところスコアは大体150万点ほど。しかも回を重ねるごとにスコアが上がっていくという意味不明な結果に。
Androidとの単純比較をしてもGalaxy Z Fold5のスコアを20万点ほど上回る驚異的な結果となった。
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この結果の後にも測定してみると160万点近く出たので普段使い+αの使い方でも困ることはなさそう。そもそもiPhoneなのでカスタムできないし性能がカンストしてる。
iPhone 15 ProのGeekbench 6スコアはシングル2953
Geekbench 6でもスコアを計測するとシングルで2953とハイスコア。マルチで7368とiPhone 14 Proシリーズを大きく引き離す結果となった。
GPUスコアは27340でこちらもiPhone 14 Proシリーズのスコアから大きくスコアUPしているようだ。
これだけの性能をどこで使えばいいのか謎だが、後で紹介する空間ビデオやレイトレーシング、そしてAppleが考えている未来で必要になるのだろう。
ナチュラルチタニウムボディが最高
iPhone 15 Proはチタンを採用し、14までのProシリーズのステンレススチールより落ち着いた雰囲気を醸し出している。
裏面はマットな仕上がりでスベスベしており、かなり所有欲を満たしてくれる。
側面はちょっとツヤがありつつヘアライン加工のようなスジの入った高級感と重厚感を兼ね備えた外観。
裏面・側面ともにマットな仕上がりなので指紋は目立ちづらいが、人によると皮脂で劣化するとかしないとか。ここは長期使用してみないとわからない。
インターフェースを見ていくと上部には何もなく、
下部にはスピーカーと念願のUSB Type-C端子を搭載。あまりにも遅すぎる搭載でイライラしていたガジェオタは歓喜の声と哀愁漂う「やっとか」の声。
右側面には通常通り電源ボタンを搭載し、
左側面には音量ボタンとサイレントスイッチの代わりにマルチボタンとして使用可能なアクションボタンを搭載。
あとで紹介するがアクションボタンには色々と操作を割り振れるので、すぐにアプリや動作を起動したい時に使える。まだ長押しにしか対応していないが、これから1回押しや2回押しも対応すると、より使い勝手が向上するだろう。
付属品はいつも通りのケーブルとりんごステッカーと簡単なガイドとSIMピンのみ。
ただ、ケーブルはUSB Type-CになったことでUSB Type-C to USB Type-Cケーブルに変更。質感は布っぽい感じで劣化に強そうだが、規格がUSB2.0(転送速度が最大480Mbps)のクソ仕様。ここでケチるのがApple。
まあ普通の人はデータ転送なんてしないしサードパーティ製のケーブルを使えばいいからそこまで問題ではない。
iPhone 15 Proはハイエンドではかなり軽い
iPhone 15 Proはハイエンドスマホだが、その中ではかなり軽い部類だろう。執筆者が使っているGalaxy S22 Ultraは229gだし、ミドルレンジのGoogle Pixel 7aは193.5g。
一方でiPhone 15 Proの重量は187gと驚異的。この軽さを実現できたのは筐体にチタンを採用したから。これだけ軽いと普段使いで腕が疲れることはないだろう。
サイレントスイッチ廃止とアクションボタンの搭載
すでに書いたようにiPhone 15 Proシリーズからサイレントスイッチがアクションボタンというボタンに変更された。
サイレントスイッチなんて常にオン(サイレント状態)なんだから搭載している意味がない。iPhone 15 Proシリーズではコントロールセンターから消音モードにできるので、初めからこれで良かった気がする。
なお、アクションボタンにこれまで通りの消音モードを設定できるので、スイッチとボタンの違いはあれど操作内容を同じにできる。
MagSafeでより便利に
iPhone 12シリーズより搭載されたMagSafeにももちろん対応。マグネットを内蔵したスマホリングやモバイルバッテリーをつけることでより便利にiPhoneを使える。
ただ、16万円〜もするiPhone 15 Proを裸で使う人は少数派だろうから、MagSafe対応のスマホケースを使うのがおすすめ。
普通のクリアケースでもいいけどなぜかMagSafeリングが白ばっかりでiPhone 15 Proの筐体の美しさを損なうので、執筆者は上の2ケースを購入した。
どっちも同じ感じだったが、SUPCASEのケースは背面がクリアなのナチュラルチタニウムの色をそのまま出せるし、MagSafeリングが灰色と黒の二色なのでこれもナチュチタカラーにマッチした。
無限の可能性を秘めたUSB Type-C搭載
iPhone 15 Proは念願のUSB Type-Cを搭載し忌まわしきLightningから卒業ということが話題となった。
ただし、iPhone 15 Proに付属のUSB Type-Cケーブルの規格はUSB2.0という古い規格。おそらくApple純正のUSB Type-Cケーブルを売るためだろう。コスイ手を使ってくる。
不幸なことにiPhone 15 Proの充電速度は最高で20W(27Wという噂も)なので普通に遅いんだが、15シリーズよりUSB Type-Cになったことで、今年〜来年にかけてかなり大きなメリットが生まれてくるだろう。
USB規格 | USB規格(旧名称) | 転送速度 |
---|---|---|
USB2.0(15 / 15 Plus) | USB2.0 | 480Mbps |
USB 3.2 Gen 1 | USB3.1Gen1 | 5Gpbs(5,000Mbps) |
USB 3.2 Gen 2(15 Pro / 15 Pro Max) | USB3.1Gen2 | 10Gpbs(100,000Mbps) |
USB 3.2 Gen 2×2 | - | 20Gpbs(200,000Mbps) |
メリット1:充電ケーブルを選ばなくてよくなる
これまでMacやAirPodsシリーズ以外のデバイスとiPhoneを持っていく時はいちいちLightningとUSB Type-Cの両方を持っていく必要があった。
例え1本だけ持っていくとしても、手に取ったそのケーブルがLightningなのかUSB Type-Cなのか判断するというムダな意識を向けないといけなかった。
しかし、iPhoneがUSB Type-Cになったことでとりあえずケーブルを持っていけばUSB Type-Cなので意識する必要がなくなった。もちろん家のケーブルをUSB Type-Cに統一する必要はあるが。
メリット2:高速充電に期待
充電端子がUSB Type-Cになったことで理論上240Wまでの充電に対応できる。現状のスマホだと最高で120Wほどで充電できるので将来は10分くらいで0%→100%の充電も夢ではない。
まだiPhone 15 Proは20Wが最高だが、これからの充電速度の向上に期待。
メリット3:データ転送速度が向上
Lightning端子だとUSB 2.0という規格なのでデータ転送速度が480Mbpsと激遅だった。一方でiPhone 15 Proシリーズが搭載しているUSB Type-CはUSB3規格(USB 3.2 Gen 2)で最大10Gbps(100,000Mbps)というレベチな転送速度を実現。
一般人にこんな速いデータ転送速度は不要だが、速いに越したことはないし、副業解禁の流れで大量のデータを扱うかもしれない。その時のためにもデータ転送速度の向上はありがたい。
メリット4:外部ディスプレイやARグラスに応用可能
USB Type-Cを搭載したことで外部ディスプレイにiPhoneの画面を映したり、ARグラスと接続して作業環境を仮想空間に移すことも可能。
iPhoneの画面をディスプレイに移したところでミラーリングで終わるし、ARグラスもまだまだ普及していないが、その布石としてのUSB Type-C搭載と考える。
デメリット:Lightningユーザーとの混乱
デメリットとしてはスマホに詳しくない99%の一般人とのケーブル共有ができなくなるということ。一般人にとってケーブルはケーブルでしかなく、LightningもUSB Type-AもUSB Type-Cも全て同じ。
そんな中、自分だけ15シリーズで他が14以下ならケーブルの共有ができなくなる。その時はコンビニでケーブルを買うことになる。
これから進化するだろうアクションボタン
15 Proシリーズから初搭載されたアクションボタン。一応元ネタはApple Watch UltraだがiPhoneに導入されたのは今回の15 Proシリーズが初めて。
まだまだできることは少ないし使い勝手もそこまで良くないが、いろんな人がいろんな機能を見つけるだろうから、進化には期待できる。
できることは9種類
現状できることは以下の9種類。
- 消音モード(これまでと同じ)
- 集中モード
- カメラの起動
- フラッシュライト
- ボイスメモで録音
- 拡大鏡
- ショートカットアプリ
- アクセシビリティを実行
- 設定なし
ショートカットアプリを使用できるのでできることはかなり多いが、いちいち作るかインポートする必要がある。
個人的にはすぐにカメラを起動して撮影したいのでカメラの起動に割り当てている。Androidの電源ボタン2回押しと同じ。
現状は長押しのみに対応
ただし、アクションボタンは現状は長押しにのみ対応。1回押しや2回押しでは反応しないし設定もできない。
これは誤動作の防止という観点もあるだろうが、新機能として1回押しに対応させることで追加の話題にしたいからだと考える。
未来に期待できる空間ビデオやレイトレ強化
iPhone 15 Pro発売直後には使用できないが、将来的に使用できる機能として空間ビデオの撮影と、レイトレーシング対応のゲームの登場が挙げられる。
2023年のWWDCで発表されたApple Vision Pro用の3D動画をiPhone 15 Proで撮影できるというもの。
日本に来るのは2024年だし価格は48万円と庶民には届かない代物だが、早めに撮影しておくことで数十年後に良い記録になるだろう。また、3Dビデオを撮影できると建物内のイメージや擬似旅行にも活躍しそう。
一方でレイトレーシングとは光源からの光の方向や量を計算して水たまりや物体での反射・屈折をリアルに近いように表示する技術。
メインはゲームでの使用が多いだろうが、iPhone 15 Proシリーズなるスマホのサイズでこの機能が使えるなら賢い人が日常生活に落とし込むこともあるだろう。
我々凡人はそのおこぼれをいただけることを願うばかり。
51分で10%から80%まで充電
iPhone 15 Pro充電テスト
最大65W 5Aの充電器に接続し、10%からバッテリー最適化モードの80%まで充電残量が少ない時は20Wで充電、基本は10-15Wで充電
経過時間は51分ほどでした🤗 pic.twitter.com/YiU7INZ6Yd
— メガネ 🦊 ガジェットブロガー/YouTuber/Webエンジニア (@m_ten_pa) September 24, 2023
バッテリー10%の状態からCIO NovaPort TRIO 65Wで充電すると51分でバッテリーの最適化ラインの80%まで充電できた。
執筆者は下記記事で紹介しているSisyphyのマグネット端子をつけているからその分、充電は遅くなるだろうが大体これくらいの速度。
このツイート的に最大20Wでの充電が濃厚そう。16シリーズの充電速度の向上に期待。
-
【マグネットType-Cアダプタ】強制的にワイヤレス充電に対応させる | マグネット端子
続きを見る
iPhoneのカメラ画質はさすがにキレイ
iPhoneのカメラは毎年進化しつつ毎機種キレイに撮影できるが、もう一般人かつ風景だと性能がカンストしているからどうやってもキレイ。
曇り空の風景写真でもそれなりにキレイに撮影できてしまう。iPhoneで画質に困ることはない。
合計6つのレンズを瞬時に切り替えられる
iPhone 15 Proのカメラは超広角0.5倍、広角(メイン)1倍、望遠3倍の3眼構成なんだが、メインの48MPの中央をクロップすることで2倍を実現。
さらに1倍カメラの焦点距離を24mm(1倍)、28mm(1.2倍)、35mm(1.5倍)に変更することで小刻みに倍率を変更できるようになった。
- 超広角カメラ0.5倍(13mm)
- 広角カメラ
- 1倍(24mm)
- 1.2倍(28mm)
- 1.5倍(35mm)
- 2倍(48mm)
- 望遠カメラ:3倍(77mm)
結果的にiPhone 15 Proでは6種類のレンズを瞬時に切り替えられる。他の倍率は一般的なiPhone 15 Proと同じようにピンチイン/ピンチアウトや倍率長押しでデジタルズームとして撮影できる。
ということで作例が以下。
0.5倍から3倍まで段階的にズーム
超広角0.5倍(14mm)
広角1倍(24mm)
広角1.2倍(28mm)
広角1.5倍(35mm)
広角2倍(48mm)
望遠3倍(77mm)
超広角0.5倍(14mm)
広角1倍(24mm)
広角1.2倍(28mm)
広角1.5倍(35mm)
広角2倍(48mm)
望遠3倍(77mm)
超広角0.5倍(14mm)
広角1倍(24mm)
広角1.2倍(28mm)
広角1.5倍(35mm)
広角2倍(48mm)
望遠3倍(77mm)
ポートレート
f16
f4.5
f1.4
レビューまとめ
この文章を書いている時点ではiPhone 15 Proを使ってほとんど時間が経っていないが、現時点でのレビューまとめは以下。
さすが天下のiPhoneということでビルドクオリティは高いし性能も高い。そして人々を魅了するマーケティング。素晴らしいの一言に集約される。
USB Type-CとアクションボタンとARグラス、iPhone 15 Proは折りたたみスマホとは違う未来を感じさせた。
良い点
- チタニウムボディが美しい
- USB Type-C対応
- サイレントスイッチがアクションボタンに変更
- ハイエンドなのに軽量
- 空間ビデオやレイトレ、アクションボタンなど未来への布石
微妙な点
- カメラがゴツすぎる
- アクションボタンでできることが少なめ
- 付属Type-CケーブルUSB2規格
これがiPhoneの完成系であり始まりのスマホ
今回は話題のiPhone 15 Proをレビューした。まだ使い始めなので追記しつつレビュー記事としたい。
これからUSB Type-Cを使ったハックやアクションボタンのより便利な使い方が発見・構築・発売されるだろう。USB Type-C採用とサイレントスイッチ廃止で完成されたかのように思われたiPhone。
しかし、これはiPhoneのセカンドチャプターの始まりかもしれない。