こんな人におすすめ
マルチポイントって便利と言われているけど、逆に不便なところやデメリットってないの?
あまり語る人がいないから知りたい。ってかそもそもマルチポイントってなに?
今回はマルチポイントのメリット・デメリットを紹介する。マルチポイントという言葉は知っているが何がメリットなのかわからないという人も多いだろう。
さらにマルチポイントのデメリットについて語る人がほぼいないので、不便なところやデメリットを知っている人はさらに少ないだろう。
本記事ではイヤホン購入時にはマルチポイント機能必須で、複数台のマルチポイント対応イヤホンを使う執筆者がマルチポイントのメリット・デメリットを紹介する。
マルチポイントの不便なところ・デメリットは接続性。元も子もない結論だが、これが真実。
動画でマルチポイントのメリット・デメリットを確認
本記事で紹介するマルチポイントのメリット・デメリットなどはYouTube動画でも解説している。
より語り口調で知りたいって人はYouTube動画も確認してほしい。思った以上に反響をいただいている。感謝。
マルチポイントとは
そもそもマルチポイントとは複数のデバイスに同時に「接続」できる機能のこと。イヤホンとスマホ2台や、イヤホンとスマホ・PCなど組み合わせは人それぞれだ。
もちろん物理的な制約のある有線イヤホンではマルチポイントはできず、あくまでも無線イヤホン(ワイヤレスイヤホン)での機能だ。
2022年の時点ではマルチポイントは2台のデバイスというのが主流。
マルチペアリングとマルチポイントの違い
似たような言葉でマルチペアリングというのもあるが、こちらは複数のデバイスに同時に「登録」できる機能のことだ。
マルチペアリングが複数デバイスに対応していると他のデバイスと再接続する際にスムーズに接続できる。いちいちペアリングの設定をする必要がなくなる。
もしマルチペアリングが1台までだと、スマホから別のスマホやPCに接続を切り替えたいときは、元のスマホとの接続を削除して別のスマホ・PCでペアリング設定をしないといけない。
- マルチポイント:同時「接続」
- マルチペアリング:同時「登録」
マルチポイントの設定の仕方
マルチポイントは同時接続できる機能なので、あらかじめマルチポイントしたいデバイスとペアリング設定しておく必要がある。
複数デバイスでペアリング設定ができれば、あとはそれぞれのデバイスとイヤホンをBluetooth接続すればいい。マルチポイントのペアリング設定をする感じ。
一度マルチポイント接続すれば次回の接続は自動でマルチポイントになる。
マルチポイントの便利さ・メリット
ここからはマルチポイントの便利さやメリットについて紹介する。これらに関しては世間的によく言われていることだから知っている人も多い内容だ。
電話着信にすぐに応答できる
マルチポイントのメリットで一番多く言われるのが電話の待ち受けが常にできるという点。
片方のスマホで音楽を聴いている最中にもう片方のスマホから電話がかかって来ると、音楽が止まりそのまま電話に応答できる。ZOOMなどのテレビ会議系も同様。
プライベート用のスマホと仕事用のスマホに同時に接続しておくと、仕事用のスマホにかかってきた電話を見逃すことがないというメリットがある。
作業と休憩で再生デバイスを切り替えられる
執筆者が一番恩恵を受けているのがこのメリット。普段の作業はPCでBGMを再生、休憩中はスマホでYouTubeを観ている。
普段の作業はPCで行うのでいちいちスマホを取り出して音源操作するのは面倒。そのままPCで音源操作する方が楽。
また、休憩中やお手洗いの際にスマホでそのままYouTubeを観ることができるのでお手軽さもメリットになる。
スマホを持ってそのまま出かけられる
スマホとPCにマルチポイント接続しておくと、スマホだけ持って出かけた際に自動でPCとの接続を切ることができる。Bluetoothの接続範囲外に移動すればいいだけ。
この方法ならPC→スマホの接続切り替えをする必要なくすぐに音楽やYouTubeを聴くことができる。
なお、帰宅時に自動でPCとマルチポイント接続されるかはイヤホンによって挙動が異なるっぽい。Jabraは可能、SENNHEISERは不可。
マルチポイントの不便さ・デメリット
ここからは本題のマルチポイントの不便なところやデメリットについて紹介する。
世間的にはあまり知られていない内容なので価値があるだろう。
複数デバイスとの同時再生はできない
考えてみれば当たり前だが複数デバイスで同時に再生してしまったら何が聴こえているのかわからない。なので1デバイスからの音源しか再生できない。
すでに片方のデバイスで再生している状態でもう片方のデバイスで再生すると、追加で再生した方のデバイスの再生はすぐに止められる。この時はじめのデバイスでの再生は継続される。
なお、電話がかかってきた時は音源再生していない方のデバイスが優先され、再生していた方の音源は止められる。
この仕様はありがたいんだけど、実は以下で紹介する大きな不便さ・デメリットを生むことになる。
別デバイスでの再生判定を喰らう
この問題が一番大きい。本来はPCで音楽を聴きたくて再生すると、イヤホン側が現在スマホで再生していると誤認識して強制的に一時停止する。
ただ、実際にはスマホで再生していないので完全にイヤホン側の誤認識だ。
対応策としては3つ考えられる。
- スマホとの接続を解除
- スマホで一瞬だけ再生して一時停止
- スマホ側での再生音源を全て削除
1つ目が確実な方法でスマホとの接続を解除すればもちろん再生するためのデバイスがPCだけになるのでPCで再生するしかない。
ただ、この方法だとスマホで再生したいときに再接続する必要がありマルチポイントの恩恵がなくなるばかりかマルチポイントが仇となる。
2つ目の方法がスマホで一瞬だけ再生して一時停止する方法。要するにイヤホン側にスマホでは一時停止したことを知らせる方法だ。
ただ、この方法だとその瞬間はPCで正常に再生されるが、PC側で以下の行為をするとまたスマホ側で再生判定を喰らう恐れがある。
- 早送り・巻き戻し
- 一時停止
こうなるとまたスマホ側から一瞬だけ再生して一時停止する必要が出てきて実用的ではない。
3つ目の音源削除は、スマホ側で再生している再生中の音楽やYouTube動画を削除するということ。
要するに現在、何も再生されていない状況を作り出せばいいってこと。YouTubeだと画面下に再生中のコンテンツがなかったらいい。
ただ、この場合だとスマホ側で再生したいときにまた再生するコンテンツを選ばないといけなくて面倒。
さらに音楽サービスによれば強制的に一番上の曲が流れることもあるので注意が必要だ。
結局、一番確実なのは意図しない方のデバイスとの接続を解除するという救いようのない方法だ。
再生判定はイヤホンごとに挙動が異なる
再生判定の問題がややこしいのはイヤホンごとにその挙動が異なるという点。執筆者の環境だと以下のような傾向だった。
- Jabraイヤホン:スマホ優先
- SENNHEISERイヤホン:PC優先
- Noble Audio:特にないがマルチポイントが不安定
この傾向に沿うとJabraイヤホンの場合だとPCで再生するとスマホで再生されていると誤認識されて強制的にPCが一時停止になる。この場合はスマホ側のBluetoothを切るかスマホで一瞬だけ再生して一時停止すればいい。
一方でSENNHEISERの場合はJabraの逆でスマホで再生するとPCで再生されていると誤認識されて強制的にスマホが一時停止になる。PCでBluetoothを切るかPCで一瞬だけ再生して一時停止したらいい。面倒。
なお、Noble Audioは傾向はなさそうだが、マルチポイントを使うと音が聴こえなくなるので別の問題で使えない。
再生したら別のデバイスから再生される
SENNHEISER木綿3でマルチポイントでスマホからYouTubeを聴く
書類を書くために一時停止→書き終わったから再生操作→PCのYouTubeが再生
なぜ
スマホで最後に流したし、なんならYouTubeの画面は点いたまま
なぜ
マルチポイントの優先順位をつけられるようにしてほしい🤔https://t.co/OzPqZu8VD4 pic.twitter.com/aduCrgILz4
— メガネ 🦊 ガジェットブロガー/YouTuber/Webエンジニア (@m_ten_pa) November 15, 2022
こちらも似たような現象で、スマホで最後に再生し一時停止、その後にイヤホン側で再生操作をするとPC側で再生されることがある。
最後にスマホの音源を一時停止したのだから再生する時もスマホ側というのが一般的な感覚。
検証した中ではSENNHEISER MOMENTUM True Wireless 3はスマホの音源を一時停止して1秒以内に再生すればスマホから再生、1秒を超えるとPCの音源が再生された。
SENNHEISER木綿3でマルチポイントでスマホからYouTubeを聴く
書類を書くために一時停止→書き終わったから再生操作→PCのYouTubeが再生
なぜ
スマホで最後に流したし、なんならYouTubeの画面は点いたまま
なぜ
マルチポイントの優先順位をつけられるようにしてほしい🤔https://t.co/OzPqZu8VD4 pic.twitter.com/aduCrgILz4
— メガネ 🦊 ガジェットブロガー/YouTuber/Webエンジニア (@m_ten_pa) November 15, 2022
ただ、毎回この仕様で再生されるわけではなく、スマホで一時停止して再度再生したらちゃんとスマホで再生されることもある。
何がトリガーになっているのかよくわからないが、こういう問題・仕様もあるということは頭に入れておいてほしい。
対策としては手動での再生だ。これだと確実に意図したデバイスで再生できるが、再生判定を喰らうとこの方法でも再生できないから注意。
バッテリーが減りやすい
マルチポイントは複数のデバイスに同時に接続する機能なので1台接続に比べてバッテリーの消費は激しい。ただ、常に音源を流しているわけではないのでそこまで過敏になる必要はない。
Bluetoothコーデックを下げたり音量を下げたりノイキャンをオフにしたりした方が、よっぽどバッテリー消費は抑えられる。
マルチポイントでトラブったら接続解除
ということで最後にマルチポイントでトラブったらとりあえず接続解除すればいいということをお話しする。
本記事で紹介したデメリットはどれもマルチポイント接続していなかったら起きない。それなら解除してしまえばいいというシンプルな理屈。
基本的にはスマホやPCのBluetooth設定画面からイヤホンの接続を解除すればいい。
SENNHEISERなどの一部イヤホンだとアプリ上から接続解除ができるので、アプリからできる場合はその方が楽なことも多いだろう。
特にPCを閉じた状態でPCの再生判定を喰らってしまった場合、いちいちPCを開けてBluetoothを切るのは面倒。
そんな時はアプリでPCとの接続を解除できるので楽だ。ただ、アプリの立ち上げからイヤホンとの接続までに10秒ほどかかるのがネック。
マルチポイントは基本は便利
今回は最近イヤホン界隈で話題のマルチポイントのメリット・デメリットについて解説した。世間では語られない内容だったので貴重な記事と自負する。
確かに同時接続できるのでマルチポイントは便利だが、接続の切り替えでバグるとかなりストレス。解消法もあるけど、接続解除や操作が必要とこれもストレス。
本記事の内容でマルチポイントについての理解を深め、より便利に同時接続を楽しんでほしい。