今回は1万円以下ならこれを選べで有名なEarFunの豆型の完全ワイヤレスイヤホン「EarFun Free Pro 3」をレビューする。
前作のEarFun Air Pro 3の時点でノイキャン・外音取り込み・ワイヤレス充電・マルチポイント・操作内容の変更に対応していて高性能だったが、これにさらに磨きがかかった。
1万円以下で機能性を重視した人・とりあえずノイキャンイヤホンが欲しい人はEarFun Free Pro 3を買うのが安定。それくらいヤバい。
EarFun Free Pro 3のスペック
EarFun Free Pro 3の操作方法
- 左右1, 2回タップ
- 音量アップ
- 音量ダウン
- 前の曲(曲戻し)
- 次の曲(曲送り)
- 再生/一時停止
- 音声アシスタント
- ノイキャン系切り替え
- ノイキャン・外音取り込み・オフの3種類を強制
- 無効
- 左右3回タップ、長押し
- 音量アップ
- 音量ダウン
- 前の曲(曲戻し)
- 次の曲(曲送り)
- 再生/一時停止
- 音声アシスタント
- ノイキャン系切り替え
- ノイキャン・外音取り込み・オフの3種類から2種類選択
- 無効
あまりにもコンパクトすぎるイヤホン
EarFun Free Pro 3の外箱はキラキラ仕様でちょっとした高級感を感じられる。が、箱の土台と箱のフタがギチギチすぎて両者を外すのに一苦労する。同梱物は以下。
- EarFun Free Pro 3本体
- シリコンイヤーピース
- フォームタイプイヤーピース
- イヤーフック(イヤーフィン)
- USB Type-A to Type-Cケーブル
- クリーニング用の綿棒
- クリーニング方法の紙
- サンキューカード
- 取扱説明書
1万円以下なのに付属品が充実しすぎ。フォームタイプのイヤーピースまで付属するのはすごい。
今回ご提供いただいたのはネイビーブルーというカラーで、他にもブラウンブラックとシルバーホワイトの展開がある。
EarFun Free Pro 3のケースはかなりコンパクトで衝撃。質感はプラスチック感があるが、メタリック調の見た目が高級感を出している。
ハイエンドながらコンパクトなSONY WF-1000XM5や他の完全ワイヤレスイヤホンと比べてもそのコンパクトさがわかる。
こんだけコンパクトなのにしっかり性能も高いから驚き。
イヤホン本体は一般的なカナル型イヤホンと同じく豆型で、イヤーフックを付けて耳に引っ掛けることで安定性を確保できる。
ケースは小さいがイヤホン本体もかなりコンパクトなので耳への収まりもかなり良い。
これだけコンパクトなのにノイキャンも外音取り込みもマルチポイントも対応しているし、ケース自体がワイヤレス充電も対応しているという高機能なイヤホンだ。
低音は重たいがイコライザが優秀
EarFun Free Pro 3の音質は他の低価格帯のイヤホンと同じようにドンシャリサウンド。ただ、ちょっと深めの低音なので音の輪郭のボヤけ具合はまだマシな方。
低音が強いせいで中高音が埋もれがちだが、EarFun Free Pro 3はイコライザが優秀。特にOluv’s gadgetsとのコラボイコライザだとかなりバランスがいい。
パッと見は極端すぎて音が崩れそうだが、なぜか全体的にバランスよく慣らしてくれるからイヤホン・音楽とは不思議なもの。
もちろんプリセットとして音楽のジャンルに合わせたイコライザとカスタムのイコライザもあるので、自分好みの音質にしやすいのは魅力的だ。
音場は狭めではあるがベースが低音が深いドンシャリなので音場が狭い分、ダイレクトな音楽を楽しむことができる。
ノイキャンは強いが高音はあまり消せない
EarFun Free Pro 3のノイキャンは確かに強力で低音域の音はかなりかき消してくれるが、高音域は結構残っている印象。
なので一般人が普段使いするなら問題ないが、一度でも強力なノイキャンを体験してしまうと低音が消えた結果残った高音が目立って聞こえてしまう。
ノイキャンは4つモード変更が可能
EarFun Free Pro 3はアプリから4種類のノイキャンのモードを変更可能で、微妙な差だが自分に合ったノイキャンを選べる。
それでも劇的にノイキャン性能が向上するわけではないので、高音域の音の残りは価格相応な感じだ。
風切り音低減にも対応
ただ、EarFun Free Pro 3は低価格イヤホンにありがちな風切り音を低減するノイキャンを搭載。常時開放型なのでオンにするとノイキャン性能が落ちるが、確実に風切り音が減る。
3万円オーバーのイヤホンでようやく普及し始めた風切り音低減を1万円以下という価格で搭載してきたのでもう意味不明。価格がバグってる。
なお、風切り音低減はイヤホン操作ではオン・オフの変更ができない。ここは惜しい。
外音取り込みはちょっと音量が小さい
外音取り込みはちょっと音量が小さいので初めていくカフェで慣れないレジ対応を受ける場合などは注意深く聞く必要がある。
外音取り込みの音質的にもちょっと機械音っぽい感じがあるので、優秀とまではいかない。普通。
なお、外音取り込みもモード変更に対応していて、デフォルトは声の帯域を強調するボイスモードだ。
全ての外音モードは声の帯域のみならず他の音の帯域も満遍なく収音するモード。一般的な完全ワイヤレスイヤホンでいうデフォルトのことだ。
全ての外音にすると音のざらつきのようなものを感じやすくなるので、会話やアナウンスを聞く機会が多い人はデフォルトにするのが良いだろう。
通話性能はそこそこいい
通話性能を測るためにボイスメモにて以下の条件で録音してみた。
- 静かな環境
- 騒音のある環境
- 風が直接当たっている環境
静かな環境だと普通に会話できるくらいの通話性能で問題なし。
ノイズが多い環境だと多少バックグラウンドにノイズが混ざっているが、それでも普通に会話できるくらいの通話性能がある。
風が当たっている環境で録音すると風切り音だけでなくバックグラウンドのノイズも結構拾っていてちょっと聞きづらい印象。
ただ、思った以上に風切り音は抑えられているのでノイズが多い環境での通話と言うのがわかるくらいで使えなくはない。
1万円以下なのに機能が充実しているアプリ
EarFun Audio
Earfun Technology (HK) Limited無料posted withアプリーチ
EarFun Free Pro 3はアプリ「EarFun Audio」に対応、主にできることは以下。
- バッテリー残量の確認
- ノイキャン系の切り替え
- ノイキャン・外音取り込みのモード変更
- ゲームモードのオン・オフ
- 操作内容の変更
- aptX系の設定
- 接続機器の切り替え
- 音声ガイダンスの音量調節
1万円以下という価格ながら3, 4万円のフラグシップと同じかそれ以上の性能を有している。マジで企業努力がハンパない。
もうこのご時世、完全ワイヤレスイヤホンは音質だけではなかなか売れずノイキャンやアプリでできることが求められているだろうから、EarFunのアプリの完成度はレベチ。
ノイキャンのモード変更が可能
すでに書いたように「デフォルト」「みみ1」「みみ2」「みみ3」の3種類からノイキャンのモードを変更でき、さらに風切り音低減用のノイキャンにもモード変更可能。
これら4種類のモードは微妙な差だが、確実にノイキャンの効き具合は異なるので一度調整してほしい。
イコライザはプリセットもカスタマイズも可能
イコライザは以下の4種類から選択できる。
- デフォルトサウンド
- プリセットイコライザ
- Rock
- PopCountry
- R&B
- Classical
- Jazz
- 低音ブースト
- 高音ブースト
- 低音を弱める
- 高音を弱める
- カスタムイコライザ
- 31.5, 63, 125, 250, 500, 1k, 2k, 4k, 8k, 16kを±10dB
- Oluv氏のサイン
- バランスが良い
- 低音ブスト
最後のOluv氏のサインはアプリ曰く以下の通り。ちなみにYouTubeチャンネル(oluv's gadgets @oluvsgadgets)もある。
OluvE(Oluv's gadgetsとして知られている)はヨーロッパのクラシック音楽の中心地、オーストリアで生まれ、音楽業界で20年以上の経験を持っている作詞作曲家、プロデューザー、音楽オタクである。優れた音楽センスや今までの専門知識を活用 して音楽業界で活躍している。
個人的にはOluv氏のサインのイコライザが一番バランスが良くて好みだった。低音がキツいと感じる人は試してほしい。
操作性は良いがあと一歩
EarFun Free Pro 3の操作性はかなり高いが惜しいところもある。操作は左右1, 2, 3回タップと長押しに対応していて、全て内容を変更できる。
しかし、1, 2回タップと3回タップ・長押しで割り当てできる項目が異なるのが惜しい。
- 左右1, 2回タップ
- 音量アップ
- 音量ダウン
- 前の曲(曲戻し)
- 次の曲(曲送り)
- 再生/一時停止
- 音声アシスタント
- ノイキャン系切り替え
- ノイキャン・外音取り込み・オフの3種類を強制
- 無効
- 左右3回タップ、長押し
- 音量アップ
- 音量ダウン
- 前の曲(曲戻し)
- 次の曲(曲送り)
- 再生/一時停止
- 音声アシスタント
- ノイキャン系切り替え
- ノイキャン・外音取り込み・オフの3種類から2種類選択
- 無効
オフ状態のスキップはノイキャン系の切り替えを長押しに設定した時のみ可能。これは本当に惜しいところで、個人的にノイキャン系の切り替えはすぐにしたいしオフ状態は不要だから。
3回タップと長押しにノイキャン系を割り当てると以下のようにノイキャン系で使う項目・使わない項目を選べるが、1回タップだとこれが表示されない。
これはスティックタイプのコスパ最強機「EarFun Air Pro 3」から変わらずで、個人的にはこの仕様は面倒。
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すぐにノイキャン系に切り替えたいから1回タップに割り振るとオフ状態が挟まる。かといってオフ状態をスキップしたいなら操作がややこしい3回タップか長押しになる。
ここまでの完成度のイヤホンにケチをつけるならオフ状態をどの操作方法でもスキップできるようにしてほしい。
なお、長押しでオフ状態をスキップするように設定してから1回タップにノイキャンを設定しても1回タップでオフ状態はスキップできなかった。
マルチポイントの接続切り替えも可能
さらに個人的に嬉しいのがマルチポイント時に接続デバイスをアプリから切り替えられるという点。これが地味に便利。
本来スマホで再生したいのにPCで今再生しているとイヤホンが誤認識して一生スマホから再生されないときにアプリ上から強制的にPCとの接続を解除できる。
これができないJabraイヤホンやTechnicsイヤホンは再生の誤認識が起きたらPCを開いてBluetoothを解除しないといけなかったりする。ダルすぎ。
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接続の切り替えができないイヤホンは基本的に1軍から降板するくらい個人的には重要な機能を搭載しているのは素晴らしい。
音声ガイダンスをオフにできる
また、音声ガイダンスの音量も変更できるのは地味にありがたい。個人的にノイキャン時の「ノイズキャンセリング オン」とかは不要論者。
そのガイダンス(アナウンス)が流れている間の音楽やYouTubeの音声は聞こえないからいちいち戻ったりするハメになる。
TechnicsやSONYは音量を下げられても0にはできない謎仕様だが、EarFun Free Pro 3は0にできる。最高。
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EarFun Free Pro 3を使って感じた良い点
ということでここからはEarFun Free Pro 3を実際に使って感じた良い点を紹介する。
圧倒的にコンパクトな筐体
EarFun Free Pro 3の筐体は圧倒的にコンパクトで持ち運びに苦労しない。手のひらにスッポリ収まるサイズ感なのでパンツのポケットでもバッグでも邪魔にならない。
さらにイヤホン本体も小さいので耳への収まりも良く存在感も少ない。なのに1万円以下とは思えないくらいの高性能さを誇るのでコスパはかなり高い。
風切り音低減ノイキャンまで対応
今では1万円以下のイヤホンでも普通にノイキャンに対応しているが、どうしても低価格イヤホンにはノイキャンのモード変更は対応していないことが多い。
しかし、EarFun Free Pro 3はノイキャンのモードを4種類まで変更できるしなかなか搭載しているイヤホンが少ない風切り音低減ノイキャンにも対応。
ノイキャンの強度は下がるものの屋外でも低いノイズと風切り音をカットしながらイヤホンが使えて快適だ。
マルチポイントの接続切り替えが可能
さらにアプリで接続デバイスの接続切り替えもできるのでマルチポイント中の再生の誤認識があってもどうにか対処できる。
また、3台以上のデバイスとマルチポイントするときもアプリ上から接続したいデバイスに簡単に接続変更できる。
こういう地味なところが地味に効いてくる。
99.5%の人は満足できる完成度
ということでEarFun Air Pro 3の時点で99%の人は満足できるイヤホンだったが、EarFun Free Pro 3は残りの1%の人の不満も潰しにきた高レベルすぎるイヤホンだ。
EarFun Free Pro 3で満足しないならもう1万円台までのイヤホンだと満足しない可能性が高い。それくらいEarFun Free Pro 3の価格と性能の釣り合わなさはハンパない。
EarFun Free Pro 3を使って感じた微妙な点
続いては打って変わってEarFun Free Pro 3を使って感じた微妙な点を紹介する。ただ、1万円以下がデフォルトでセールやクーポンでさらに安くなることを考えれば微妙な点がかすれるのが現状。
ノイキャン系の切り替えにラグがある
EarFun Free Pro 3はノイキャン系の切り替えに若干のラグを感じる。特にノイキャン系の切り替えを1回タップに割り当てたとき、タップの後に3秒くらい経ってから反映される。
ノイキャン系の切り替えには今すぐ会話したい・アナウンスを聞きたいというニーズがあるので若干のラグでも気になる。
ただ、すでに書いたようにノイキャン系のオフ状態をスキップするには3回タップもしくは長押ししかないのでラグはそこまで考えなくてもいい。
オフ状態は3回押しか長押し操作のみスキップ可能
んだが、やはりノイキャン系のオフ状態のスキップは3回押しか長押しにしか対応していないのが個人的には難点。1, 2回タップにも対応してほしい。
多くのイヤホンがノイキャン系の切り替えを長押しに設定しているのは下記の理由があるからだと推測している。
- ノイキャンという付加機能 = 特殊な長押しに設定
- Apple AirPods Proが長押しでノイキャン系の切り替えだから
- 技術的な問題
で、これらの中で一番のボトルネックが AirPods Proが長押しでノイキャン系を切り替える仕様だからだと思う。
なんで完全ワイヤレスイヤホンって長押しでノイキャン系の切り替えなのか、1回タップですぐに切り替えられる方がええやん
と思っていたが、なるほどAirPods Proが長押しで切り替えなのね🥺そりゃ各社パクりますわ🥺
個人的には操作内容の変更は自由にできて、1回押しで切り替えしたい🤗 pic.twitter.com/2xmrpCx4Wa
— メガネ 🦊 M天パ | ガジェットブロガー/YouTuber/Webエンジニア (@m_ten_pa) September 9, 2023
完全ワイヤレスイヤホンという市場を作った立役者がそうだから他のブランドもパクる。
一般人からしたら同じ操作感の方がいいだろうが、個人的にはそれよりも自由に割り振れる機能性の方が重要。
レビューまとめ
最終的なEarFun Free Pro 3のレビューまとめは以下。EarFun Air Pro 3の時点でかなり高機能だったのにEarFun Free Pro 3でさらに磨きがかかった。
1万円以下でイヤホンを探している人はもうEarFun Free Pro 3を選ぶのが安定。他を選ぶなら何かしらの理由が必要。スティックタイプが好みとか。
それくらいヤバいコスパなのがEarFun Free Pro 3。
良い点
- 圧倒的にコンパクトな筐体
- 風切り音低減ノイキャンまで対応
- マルチポイントの接続切り替えが可能
- 99.5%の人は満足できる完成度
微妙な点
- ノイキャン系の切り替えにラグがある
- オフ状態は3回押しか長押し操作のみスキップ可能
EarFun Air Pro 3とEarFun Free Pro 3どっちがおすすめ?
ということでここまでEarFun Free Pro 3のレビューをしたが、最後にスティックタイプのEarFun Air Pro 3とどちらがどのような人におすすめなのかをまとめておく。
音質やノイキャン性能については若干に違いがあるがそこまで大差がない。なので比べるべきはその他の性能だが、アプデで仕様が変わるかもしれないことは注意。
EarFun Air Pro 3がおすすめな人
- スティックタイプが好み
- 少しでも安い方がいい
- 少しでもバッテリー持ちがほしい
EarFun Free Pro 3がおすすめな人
- 豆型が好み
- 風切り音低減ノイキャンが欲しい
- 少しでも小型がいい
1万円以下でノイキャンも風切り音低減も搭載したコンパクトイヤホン
今回は1万円以下でコンパクトかつノイキャンに風切り音低減にワイヤレス充電にマルチポイントまで対応したコスパ完全ワイヤレスイヤホン「EarFun Free Pro 3」をレビューした。
スティックタイプのEarFun Air Pro 3ですらかなりコスパが高かったが、EarFun Free Pro 3はこれをも超えたきた。
ただ、進化点が見た目・形状以外にディープな部分なのでちょっとでも安いほうがいい人はAir Pro3を、もっと高機能がいい人はFree Pro3を選ぶのが良いだろう。