今回はJabraが3年ぶりに発売したフラグシップ完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite 10」をレビューする。執筆者は「Jabra Elite 75t」や前フラグシップ「Jabra Elite 85t」も使っていたので今作Jabra Elite 10も楽しみにしていた。
んだが、フタを開けてみると音質以外は大きく進化していないし、なんなら以前はあった機能が削られていたり欲しい機能がなかったりと残念な結果に。
そして機能面が削られたのに4万円近いという強気な価格設定。これだとだとノイキャン最強のSONY WF-1000XM5や
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3台同時マルチポイント接続できるTechnics EAH-AZ80や
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Jabra Elite 10と同じく空間オーディをプッシュしているBose QuietComfort Ultra Earbudsにユーザーを奪われかねない。
ということで本記事ではJabra Elite 10の音質やノイキャンやアプリでできることから、どうしてユーザーを奪われかねないのかについてもお話しする。
本記事で紹介するアプリのバージョンは5.16.0.0.10128.914923ed (516010128)だが、一部機能はバージョン5.18.0.0.10566.8003bff9(518010566)なので注意。
Jabra Elite 10のスペック
項目 | Jabra Elite 10 | Jabra Elite 8 Active |
---|---|---|
価格 (Amazonで2023年10月14日時点) |
¥39,600 | ¥32,780 |
最大再生時間 | 最長6時間(イヤホン本体・ANCオン) 最長27時間(ケース込み・ANCオン) 最長8時間(イヤホン本体・ANCオフ) 最長36時間(ケース込み・ANCオフ) |
最長8時間(イヤホン本体・ANCオン) 最長32時間(ケース込み・ANCオン) 最長14時間(イヤホン本体・ANCオフ) 最長56時間(ケース込み・ANCオフ) |
ANC | ○ | ○ |
外音取り込み機能 | ○ | ○ |
防水・防塵 | IP57(イヤホン) IP54(ケース) |
IP68(イヤホン) IP54(ケース) |
イヤーピースの形状 | 三角形の楕円 | 円形 |
ワイヤレス充電(Qi) | ○ | ○ |
専用アプリ | ○ | ○ |
コーデック | SBC、AAC、LC3、LC3プラス | SBC、AAC、LC3、LC3プラス |
ドライバー | 10mm | 6mm |
装着検知 | ○ | ○ |
マルチポイント | ○ | ○ |
風切り音低減 | ○ | ○ |
操作変更 | 1, 2, 3回プッシュ | ? |
タッチ式かボタン式 | ボタン式 | ボタン式 |
Jabra Elite 10の操作方法
左右1, 2, 3回
- なし
- 再生 / 一時停止
- 次の曲(曲送り)
- 前の曲(曲戻し)
- 音声アシスタント
- ノイキャン系の切り替え
左長押し
- 音量ダウン(変更不可)
右長押し
- 音量アップ(変更不可)
大ぶりだが装着感は最高に軽い
Jabra Elite 10の外箱はやたらシックでめちゃくちゃカッコいい。同梱物は以下。
- Jabra Elite 10本体
- イヤーピース
- USB Type-A to Type-Cケーブル
- 安全上の注意系の紙
- 保証系の紙
取説は特についてきていないが、箱の仕切りに簡単なセットアップガイドはある。
イヤホンなんてスマホと接続してQRコードからアプリを入れたら使えるから取説はそこまで必要ではない。
ケースは大ぶりだがイヤホンは取り出しやすい
Jabra Elite 10はこれまでのスタイルから打って変わって縦置きできないタイプに変更された。個人的には倒して置くのが嫌なんだが、構造上避けられなかったのだろう。
ケースの表面はマットな質感ながらもSONY WF-1000XM5のケースよりは光沢がある材質。SONY WF-1000XM5よりケースの傷は目立ちづらそう。
イヤホンはケースからそこまで飛び出ていないが、イヤホン本体がラバー素材なでグリップ力があるので取り出しに困らない。
Jabra Elite 10はスポーツモデルのJabra Elite 8 Activeも同時に発売しており、グリップ力には定評があるからJabra Elite 10でも採用したんだろう。使いやすい。
平たいがワイヤレス充電には対応
Jabra Elite 10は平たいケースでワイヤレス充電に対応してなさそうな見た目だがさすがJabra、ワイヤレス充電にも対応。
ケースの裏面がワイヤレス充電のコイルなのでおもて面を上にして充電器に置けば充電できる。
装着感は最高に軽くて疲れ知らず
Jabra Elite 10のイヤホン本体はセミオープン型を採用しており、Jabra Elite 85tのようにイヤーピースが楕円形で耳にフィットする形状。
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通常の円形のイヤホンのように耳にグッと入れることなく、スッと耳に入れるだけで装着できるので長時間つけていても違和感なく使用できる。
ただ、楕円形のイヤーピースは耳にフィットさせるだけなので食べ物を食べたり笑ったりして顎が動くと簡単に耳とイヤーピースの間に隙間ができてノイキャンが弱くなる。
なのでセミオープンで軽い付け心地なんだけど装着位置は円形にイヤーピースよりシビアに考えた方が良い。
操作は物理ボタン式
最近の完全ワイヤレスイヤホンはほとんどがタッチ式でステムタイプ(うどん型)ではスライドでの操作ができるんだが、Jabraは安定の物理ボタンを採用。メリットとデメリットは以下。
- メリット
- 触れても誤動作しない
- 自然なクリック音で操作できたか確認できる
- デメリット
- 触れても操作できない
- 操作すると耳の奥にイヤホンが押し込まれる
長らくタッチ式の完全ワイヤレスイヤホンを使ってきたから違和感はあるが、慣れるとそこまで気にならない。好みの領域だ。
空間的な広がりがある最高に好みな音質
Jabra Elite 10はフラグシップイヤホンだから音質が良いのは当たり前なんだが、今作Jabra Elite 10の音質は執筆者がめちゃくちゃ好きな音質だった。
初めてイヤホンで感動したJabra Elite 75tを彷彿とさせるような低音の響きと75tから圧倒的に進化した空間的な音の広がりが最高にマッチして他のイヤホンより数段上の音質だ。
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高音を少し上げるとバランスよく至高へ
空間的広がりと程よく低い低音がJabraらしい高音質なんだが、たまに低音が強く高音が弱めに感じることも。その場合は後述のアプリのイコライザで高音を上げるとバランスが良い。
もちろんプリセットイコライザもあるしカスタムイコライザもあるので自分好みに音質を変更してほしい。ただし、聴覚測定の機能は省かれているし、パーソナライズ機能もない。
Dolby Atmosの空間サウンドでさらに広がりのある音に
Jabra Elite 10のプッシュ機能がこのDolby Atmosの空間サウンドの最適化。Dolby Atmosをオンにするとより空間的に広がりのあるサウンドに変更できる。
Dolby Atmosをオンにすると音が全体的に少し離れて自分を包み込んでくれるイメージ。音が離れるので低音の重みがなくなるものの、そこはイコライザをいじれば調節可能。
音楽やアニメをDolby Atmosで聴くと広がりと臨場感を増して視聴できるのでおすすめ。
ヘッドトラッキングはちょっと微妙
Dolby Atmosに加えてさらにヘッドトラッキング機能も搭載されているんだが、これは個人的には微妙。というのもどのデバイスでも使えるようにイヤホン側で制御しているんだろうが割とバグる。
おそらくヘッドトラッキングをオンにした時点でのスマホやPCの位置に対して自分の頭の方向に応じて音の方向を決めているが、たまに初期位置がずれて常に片側だけ聴こえることも。
執筆者的にはDolby Atmosをオンにするだけで空間的な広がりはあるのでこれで十分。ヘッドトラッキングはまだ発展途上。
強力だが最強ではないノイキャン
Jabra Elite 10のノイキャンはJabraの標準的なANCの2倍強力とのこと。ただ、この「標準的なANC」がJabra Elite 4などのエントリー〜ミドルレンジのイヤホンのノイキャンとの比較なので、劇的にノイキャンが強いというわけではない。
ただ、一般的にイヤホンよりは格段にノイキャン性能は高いので、執筆者やガジェット好きのようにフラグシップばかり使ってきた人以外の一般人からしたら十分な性能。
Technics EAH-AZ80と同じくらいのノイキャン強度
Jabra Elite 10のノイキャンは低音から高音までバランスよく音を消してくれる印象。他のイヤホンのように低音をガッツリというわけではない。
体感はTechnics EAH-AZ80と同じくらいのノイキャン強度で、低音のかき消しを少し減らして高音のかき消しを増やしたようなノイキャン強度のイメージ
ただ、高音が他のイヤホンよりキャンセルされているのでバランスよく消している印象。もう少し低音もノイキャンしてくれるとかなり優秀な部類。
空気清浄機と除湿機のフルパワーの音はほとんどかき消してくれるけど、SONY WF-1000XM5レベルまでにはあと一歩及ばない。惜しい。
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ノイキャンの強度は変更できない
Jabra Elite 85tでは可能だったノイキャン強度の変更はJabra Elite 10は不可能に。なぜこの改悪をしたのかは謎だが、ノイキャンは強い方がいいのでそこまで気にしない。
欲を言えばノイキャンの最適化機能を搭載してほしかった。Jabra Elite 85tやさらに前世代のJabra Elite 75tには搭載されていたから欲しい。
おそらく空間オーディオに対応し始めたからノイキャン強度やノイキャン性能よりは音質に注力したいのだろう。個人的には音質はカンストしているからノイキャン性能を高めて欲しい。
正直なところ、ノイキャン最強のSONY WF-1000XM5でも電車の走行音は聴こえるので、この走行音も皆無にできるくらいの強度が欲しいところ。
風切り音が改善されていない→アプデで対応!
2024年1月9日のファームウェアップデート2.1.8(1033)の更新で風切り音低減機能が搭載された。
New feature: option to toggle Wind adaptive features ON/OFF via Jabra Sound+. Feature is default OFF* o Setting is applicable for HearThrough, ANC and Sidetone. o Wind noise reduction toggle: Settings -> personalize your headset -> Wind Noise Reduction
新機能: Jabra Sound+ 経由で風適応機能のオン/オフを切り替えるオプション。機能はデフォルトでオフになっています* o 設定は、HearThrough、ANC、Sidetone に適用されます。 o 風切り音低減の切り替え: [設定] -> ヘッドセットのカスタマイズ -> [風切り音低減]
Jabra Elite 10 のリリースノート | Jabra サポート
風切り音低減のタイプとしては風が当たった時に自動的に外側のノイキャンをオフにする「反応型」と思われる。
物理型 | 常時開放型 | 反応型 | |
---|---|---|---|
対応機種の例 | SONY WF-1000XM5など | SENNHEISER MTW4など | SONY WF-1000XM4やTechnics EAH-AZ80、Jabra Elite 10など |
メリット | ソフト側で制御しないからバッテリー消費が抑えめ | オンにすればどんな時でも風切り音を低減 | 必要な時だけ発動するので最適なノイキャンになる |
デメリット | 強い風が吹くと風切り音が聞こえやすい | ノイキャン性能が常に下がる | ノイキャンの強度がコロコロ変わる |
実際に風が強い環境で使った感じは風切り音と判定するまでのラグが若干あるものの、風切り音低減がオンになるとかなり風の影響がなくなる。
ただ、風切り音低減の自動オフまでに10~15秒くらいかかるので、風がやんでもしばらくはノイキャン性能が落ちるのが少しデメリット。もっと短くていい。
下記は風切り音低減に対応するまでのこの記事の記述。ボロカス。
Jabra Elite 10はノイキャンが強力なんだが風切り音低減を搭載していないので外で使うと普通に風切り音が入ってくる。これはJabra Elite 85tでも思ったことだが改善されていない。
Amazonの商品ページには風切り音抑制についての記述はあるが、この風切り音抑制はヒアスルー(外音取り込み)限定。
風切り音抑制ヒアスルーが、風切り音を低減して、イヤホンを外すことなく、周囲の音を聞くことができます。
実際に外音取り込みの状態で風を受けると3秒ほど風切り音が入るがそのあとは自動で風切り音が低減される。しかしノイキャンだと普通に風切り音が入る。
イヤホンのドライバーサイズやノイキャン性能の向上、色々な機能の追加で大型になりがちなイヤホンだからこそ、風切り音低減は欲しかった。
外音取り込みは相変わらず優秀
Jabra Elite 10の外音取り込みは安定の高音質で普段使いで困ることはない。しかし、外音取り込みの操作をしてから実際に外音取り込みになるまで1秒くらいかかるので遅め。
また、外音取り込みと同時に一時停止できる超絶便利な機能も非搭載。代わりに外音取り込み中に音楽をミュートする機能があるがそうじゃないんだよ。
外音取り込みの強度の変更は可能
外音取り込みはアプリ上で取り込み量を変更可能。より大きな音で取り込みたい人は最大にしたらいいし、下手に多くの音を取り込みたくない人は下げればいい。
ただ、人の声の帯域だけ強調するようなボイスフォーカスなどの特別な機能は非搭載。以前から非搭載だったがJabra Elite 10で新規搭載されることはなかった。
外音取り込みでは風切り音低減が効く
上で書いたようにJabra Elite 10は外音取り込み中に風が入ると3秒後くらいに自動で風切り音低減が効いて、風の音がかなりなくなる。
風切り音低減中は外音取り込みの音がちょっとこもって聴こえるので、より注意深く聴く必要はあるが風の中でも比較的快適に外音を取り込むことができる。
外音取り込みのミュートは一時停止ではない
Jabraイヤホンは昔から外音取り込み中に音楽を流し続けるかミュートにするか設定できる。ミュートにすると外音取り込みに集中できるが、あくまでもミュートしているにすぎない。
実際に上の画像のように音楽をかけた状態で再生しても音楽は再生され続ける。一方で、外音取り込みと同時に一時停止できるTechnics EAH-AZ80だとちゃんと一時停止されるのが確認できる。
外音取り込みと同時に一時停止できる操作性に慣れると、通常の一時停止→外音取り込みという2操作が煩わしくて仕方なくなる。アップデートで対応してほしい。
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アプリでできることは減らされてる
Jabra Sound+
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Jabra Elite 10はJabraイヤホンを一括管理できるアプリ「Jabra Sound+」に対応。お馴染みのアプリとしてカスタムできる。
んだが、3年ぶりのフラグシップなのに機能が削がれたり希望の機能がなかったりと残念な感じ。できることはザックリ以下。
- ケースとイヤホン本体のバッテリー残量の確認
- ノイキャン系の切り替え
- Dolby Atmosの空間サウンドのオン・オフ
- イコライザ調節
- 環境音の再生
- 操作内容の変更
- ガイダンスを音声か通知音か無しかの選択
一般的なイヤホンで欲しい機能は搭載されているが、かつて機能性で優位に立っていたJabraとしてはもうこの時代では機能は普通〜少なめの領域に。残酷な時代。
Dolby Atmosの空間オーディオの切り替えはアプリから
Jabra Elite 10の目玉機能であるDolby Atmosの切り替えはアプリで可能。特殊機能なのでアプリから切り替えは妥当な気がするし、一度設定したらずっとDolby Atmosのオン・オフは変更しないでしょということだろう。
ただ、イヤホン側から変更できるとYouTubeを聞く時と音楽を聴く時でDolby Atmosのオン・オフを簡単に切り替えられて楽。
一応、通知センターからノイキャン系とDolby Atmosの切り替えはできるのでいちいちアプリを起動する必要はない。
といっても常にJabraの通知があるのが嫌な人もいるから操作内容で設定できるのが万人ウケしそう。
イコライザは5帯域から選択
Jabra Elite 10のイコライザはプリセットとカスタムイコライザの2種類から設定可能。パーソナライズ機能は省かれている。イコライザは5帯域から設定できる。
イコライザをいじればそれなりに音質が変わるので自分好みに音質にできる。執筆者は少し高音を持ち上げてる。
サウンドスケープで環境音を流す
昔から採用されている、環境音を流す機能「サウンドスケープ」も健在。専用のアプリやYouTubeを検索して環境音を探さなくてもJabraアプリだけで完結する。
環境音を聞いて作業する人にとってはいいだろうが、執筆者はMacアプリのMenubarXにBGMを3種類登録しているからこの機能は使わない。
MenubarXにYouTubeや天気予報やカレンダーを常駐させておくとかなり便利。MenubarXについては以下の記事参照。
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操作内容の変更は自由度が高いが音量調節が固定
Jabraイヤホンは昔から操作内容の変更がかなり自由にできた先駆者的な存在でJabra Elite 10でも操作内容の変更はかなり自由。なんだがこれまで通り音量調整が左右のイヤホンの長押しに固定されている。
1, 2, 3回押しで操作できる設定は以下の6種類。
- なし
- 再生 / 一時停止
- 次の曲(曲送り)
- 前の曲(曲戻し)
- 音声アシスタント
- ノイキャン系の切り替え
音量調節を長押しに割り当てることで連続的に音量調節できるが、1段階ずつ下げたい人もいるだろうから1, 2, 3回タップにも音量調節を割り振れるようにしてほしい。
この機能は欲しいよねというのがない
ということでザックリとアプリでできることを紹介したが、今までできていたことができなくなったり、現代のイヤホンに搭載してほしい機能がなかったりと残念な結果に。
個人的に欲しい機能は以下。
- 風切り音低減のオン・オフ(ソフトウェアでの風切り音低減の場合)
- 外音取り込みと同時に一時停止
- ノイキャン・イコライザのパーソナライズ
- 操作内容の自由な変更
全てアプリのファームウェアアップデートで実現できそうな内容なので、今後のアプデでぜひとも搭載してほしい。正直フラグシップの価格帯でこのアプリの機能性だと他のイヤホンに流れる。
通話性能は微妙
Jabraは補聴器やマイクを作成しているので通話性能も期待していたが、Jabra Elite 10の通話性能は微妙。
検証はGalaxy Z Fold5のボイスメモなので実際の通話ではないが、静かな環境でもノイズが乗っている感じがある。
また、静かな状態でも周囲に雑音がある状態でも初めの5秒くらいは雑音が消せていないので聞きづらい。そのあとはマイクのノイキャンで多少キレイになるがそれでもノイジー。
Jabra Elite 10を使って感じた良い点
ここからはJabra Elite 10を実際に使って感じた良い点を紹介する。
圧倒的好みの空間的広がりと低音の音質
完全に好みなんだが、Jabra Elite 10の音質は空間的な広がりと低音の響きが最高に良い。これまでSENNHEISERのサウンドがかなり好みだったんだが、Jabra Elite 10の音を聴いた瞬間にSENNHEISERを超えた。
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Dolby Atmosをオンにすれば音質・空間的広がりが変わるが個人的にはDolby Atmosはオフの方が好み。Dolby Atmosをオンにすると音が離れて低音が減って迫力が半減する。
音質は好みが大きいが個人的には2023年ではトップクラスの音質。
圧倒的に軽い装着感
Jabra Elite 10は特殊形状の三角形型の楕円形イヤーピースを採用したことで圧倒的に軽い装着感を実現している。耳にスッと入れるだけで装着できてノイキャンも効くので長時間の使用でも問題ない。
楕円形のイヤーピースはサードパーティ製が使いづらかったり耳にフィットしない人はとことんフィットしないが、幸いなことに執筆者は純正でそれなりにフィットした。
リモートワークや副業ブログなど長時間の作業にはJabra Elite 10はかなりおすすめできる。
現状マルチポイントが安定している
Jabraイヤホンは昔からマルチポイントに対応しているが、Jabra Elite 10は過去一でマルチポイントが安定している。ただ、マルチポイントは最初は安定していても使っていくうちに不安定になることが多い。
特に再生デバイスの誤認識が一番ウザい。詳しくは上の動画で解説しているが、スマホで再生したいのにPCで再生しているとイヤホンが誤認識してスマホで一向に再生されない。
現状、初期段階ではマルチポイントは安定しているが、もし不安定になればこの記事に追記したい。なお、現状、長期間安定しているのはSONY WF-1000XM4。
Jabra Elite 10を使って感じた微妙な点
続いてはJabra Elite 10を実際に使って感じた微妙な点を紹介する。正直Jabra Elite 10は3年ぶりのJabraのフラグシップ機なのに微妙な点が目につく。
ファームウェアアップデートで対応しないと同じ価格帯の他のイヤホンに確実に流れることになる。
機能が削られているし欲しい機能がない
個人的にこれが一番良くないと思っている。これまであったノイキャン強度の変更やノイキャンのパーソナライズといった機能を省いたのは悪い意味で大きい。
さらに風切り音低減にも非対応だしアプリで接続中のデバイスの切り替えができないし、外音取り込みと同時に一時停止もできない。
最近のフラグシップには搭載されている機能がないのは他者製品との競争に負ける要因になる。アプデしてくれ。
顔を歪めるとノイキャンが弱くなる
Jabra Elite 10は三角形の楕円形イヤーピースを採用したことで耳にフィットして圧倒的に軽い装着感なのはいいんだが、ちょっと顔を歪めるだけで簡単に耳とのフィットがズレる。その結果ノイキャンが弱くなる。
これは装着感の軽さとトレードオフになるんだが、少し何かを食べたり話したらすぐにイヤーピースがズレる。作業用としてガッツリ集中としては使えるが、外出用などには使いづらい。
ヘッドトラッキングがバグりやすい
Jabra Elite 10はDolby Atmosのヘッドトラッキングに対応しているが執筆者の個体ではバグりやすい。ヘッドトラッキングをオンにした位置がズレたり聴こえてくる音の方向がブレたりとまだまだ改善の余地あり。
しかも不意に横を向いたら片耳からしか音が聴こえなくなる(当たり前)のがどうにも違和感しかない。慣れの問題だが現状はまだ使いづらい。
価格を考えるとおすすめしづらい
で、Jabra Elite 10が2.5~3万円クラスのイヤホンならまだ良かったものの、Jabra Elite 10は4万円近い価格で発売。Jabra好きの執筆者からしてもちょっと厳しい価格設定。
Dolby Atmosのライセンスとかそこらへんで費用がかさんでいるかもしれないが、4万円クラスでDolby Atmosだけプッシュだとなかなか勝てない。
似たようなイヤホンとして「Bose QuietComfort Ultra Earbuds」もあり、BOSEも空間オーディオとヘッドトラッキングをプッシュしているが、
こちらも前作の「Bose QuietComfort Earbuds II」から進化していないと言われていたところだった。ブランド側としては空間オーディオをプッシュしたいんだろうがまだ無理。
BOSEは圧倒的なノイキャンという武器があるがJabra Elite 10はマルチポイント(BOSEは今後対応予定)とワイヤレス充電(BOSEは専用ケースが必要。クソ)という当たり前な機能しか武器がない。
なのに価格は4万円近いので正直おすすめしづらい。欲しい人は店頭で数回視聴して慎重に検討してほしい。もしくはAmazonセールを狙って購入してほしい。
レビューまとめ
ということで最終的なJabra Elite 10のレビューまとめは以下。音質が進化して安定のJabraの機能性はさすがと言いたいところだが、やはり価格を考えると微妙に感じてしまうのが現実。
5,000円でも安くしてくれたらまだ競争力はあったが、4万円近いのはしんどい。アプデに期待。
良い点
- 圧倒的好みの空間的広がりと低音の音質
- 圧倒的に軽い装着感
- マルチポイントが安定している
微妙な点
- 機能が削られているし欲しい機能がない
- 顔を歪めるとノイキャンが弱くなる
- ヘッドトラッキングがバグりやすい
- 価格を考えるとおすすめしづらい
ちょっとこれは厳しいではないですかい?
今回は3年ぶりのJabraのフラグシップ完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite 10」をレビューした。好みの音質を圧倒的に軽い装着感で楽しめるのは魅力的だが、他の機能性や他のイヤホン、そして何より価格を考えると厳しい。
まだ発売したばかりなのでもしかしたらファームウェアアップデートで化けるかもしれないが、現状は思考停止で購入するのは避けてほしい。
真のイヤホン好きではないと手が出せないので、購入する際には検討に検討を重ねて検討を加速して最も強い言葉で検討してほしい。
完全ワイヤレスイヤホンの性能グラフ
イヤホン名をシングルクリックで非表示、ダブルクリックで単発表示。
初期表示の3機種は個人的ベスト3(音質、ノイキャンなどの性能、使いやすさなどを考慮)。
風切り音低減機能(風切り音の防止機能)搭載の完全ワイヤレスイヤホンのノイキャンは、風切り音低減オン状態の数値にしている。
性能 | Jabra [Elite 75t] | Galaxy [Galaxy Buds Pro] | AVIOT [TE-D01t] | Nothing [Ear(1)] | SONY [WF-1000XM4] | Jabra [Elite 85t] | Jabra [Elite 7 Active] | XROUND [FORGE NC] | Anker [Soundcore Liberty 3 Pro] | Noble Audio [FALCON ANC] | SENNHEISER [MTW 3] | SOUNDPEATS [Mini Pro] | SOUNDPEATS [Capsule3 Pro] | SOUNDPEATS [Opera 05] | SOUNDPEATS [Opera 03] | HHOGene [GPods] | Technics [EAH-AZ80] | EarFun [Air Pro 3] | Xiaomi [Buds 4 Pro] | QCY [ArcBuds HT07] | SONY [WF-1000XM5] | Jabra [Elite 10] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
本体再生時間(ANCあり) | 5.5 | 5 | 12.6 | 4 | 8 | 5.5 | 8 | 9 | 6 | 6 | 5 | 5 | 5.5 | 6.3 | 6.3 | 3 | 7 | 7 | 6.3 | 7 | 8 | 6 |
本体再生時間(ANCなし) | 7.5 | 8 | 18 | 5.7 | 12 | 7 | 10 | 11.7 | 8 | 8.5 | 7 | 7 | 8 | 9 | 9 | 5 | 9 | 9 | 9 | 8 | 12 | 8 |
ノイキャン低音 | 7 | 6 | 5 | 4 | 9 | 8 | 7 | 6 | 8 | 6 | 7 | 6 | 7 | 8 | 8 | 5 | 9 | 7 | 9 | 7 | 10 | 9 |
ノイキャン高音 | 4 | 5 | 4 | 4 | 8 | 6 | 7 | 4 | 6 | 4 | 5 | 4 | 4 | 6 | 6 | 6 | 8 | 7 | 8 | 6 | 9 | 8 |
外音取り込み | 9 | 5 | 4 | 4 | 7 | 8 | 8 | 5 | 7 | 5 | 7 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 7 | 6 | 8 | 7 | 8 | 7 |
ドライバーサイズ | 6 | 11 | 10 | 11.6 | 6 | 12 | 6 | 7 | 10.6 | 10 | 7 | 10 | 12 | 12 | 12 | 10 | 10 | 11 | 11 | 10 | 8.4 | 10 |
音質低音 | 8 | 7 | 6 | 6 | 9 | 7 | 7 | 6 | 7 | 8 | 7 | 7 | 6 | 7 | 7 | 5 | 7 | 7 | 6 | 7 | 9 | 8 |
音質高音 | 5 | 7 | 5 | 4 | 7 | 7 | 6 | 6 | 4 | 8 | 8 | 5 | 7 | 8 | 7 | 4 | 8 | 5 | 6 | 7 | 7 | 8 |
操作性 | 8 | 5 | 7 | 3 | 2 | 8 | 7 | 6 | 8 | 5 | 9 | 5 | 5 | 5 | 5 | 7 | 9 | 8 | 2 | 7 | 5 | 7 |
アプリの使いやすさ | 8 | 5 | 4 | 3 | 6 | 8 | 7 | 6 | 8 | 6 | 8 | 6 | 5 | 5 | 5 | 7 | 8 | 6 | 3 | 6 | 7 | 8 |
付加機能 | 5 | 5 | 5 | 4 | 8 | 6 | 5 | 8 | 6 | 5 | 8 | 4 | 4 | 4 | 4 | 7 | 9 | 4 | 4 | 5 | 8 | 6 |
防水(IPX○) | 5 | 7 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 | 7 | 4 | 4 | 4 | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 |
防塵(IP○X) | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 5 |
デザイン | 6 | 7 | 4 | 8 | 7 | 6 | 7 | 7 | 7 | 8 | 9 | 6 | 6 | 8 | 8 | 7 | 8 | 6 | 7 | 6 | 5 | 7 |
ランキング | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 3 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 1 | 2 |