今回はSONYのフラグシップ完全ワイヤレスイヤホン「SONY WF-1000XM5」をレビューする。前作のSONY WF-1000XM4から体積比25%も小さくなったのにノイキャン性能や音質はさらに良くなった最強イヤホン。
SONY WF-1000XM4が出た時はSONY WF-1000XM4が最強と言ってSENNHEISER MTW3が出た時もTechnics EAH-AZ80が出た時もそれぞれが最強と言っていたが、また最強が塗り変わった。忙しすぎる。
ただ、最強というのは良い意味だけではなく悪い意味でも最強な点もある。
本記事ではSONY WF-1000XM5のスペックから音質・ノイキャン・アプリなどに触れつつ実際に使って感じたことを紹介する。開封時とファーストインプレッションはYouTube動画にもしている。
本記事で紹介するSONY WF-1000XM5のバージョンは2.0.1、アプリのバージョンは10.1.0だ。
SONY WF-1000XM5のスペック
項目 | SONY WF-1000XM5 | SONY WF-1000XM4 |
---|---|---|
価格(Amazonで2023年9月4日時点) | ¥38,000 | ¥28,299 |
最大再生時間 | 最長8時間(イヤホン本体・ANCオン) 最長24時間(ケース込み・ANCオン) 最長12時間(イヤホン本体・ANCオフ) 最長36時間(ケース込み・ANCオフ) |
最長8時間(イヤホン本体。ANCオン) 最長24時間(ケース込み・ANCオン) 最長12時間(イヤホン本体・ANCオフ) 最長36時間(ケース込み・ANCオフ) |
ANC | ○ | ○ |
外音取り込み機能 | ○ | ○ |
防水・防塵 | IPX4 | IPX4 |
イヤーピースの形状 | 円形 | 円形 |
ワイヤレス充電(Qi) | ○ | ○ |
専用アプリ | ○ | ○ |
コーデック | SBC、AAC、LDAC、LC3 | SBC、AAC, LDAC |
ドライバー | 8.4mmダイナミックドライバー | 6 mmダイナミックドライバー |
装着検知 | ○ | ○ |
マルチポイント | ○(標準搭載) | ○(アプデで追加) |
風切り音低減 | ○(ハードトして搭載) | ○ |
操作変更 | 3パターンから変更可能 1, 2, 3, 4回タップ, 長押し対応 |
3パターンから変更可能 1, 2, 3, 長押し対応 |
タッチ式かボタン式 | タッチ式 | タッチ式 |
使用可能時間の詳細
コーデック | ノイズキャンセリング機能 / 外音取り込み機能 | 使用可能時間 |
---|---|---|
LDAC | ノイズキャンセリング機能:オン | 最大5時間 |
LDAC | 外音取り込み機能:オン | 最大5時間 |
LDAC | オフ | 最大8時間 |
AAC | ノイズキャンセリング機能:オン | 最大8時間 |
AAC | 外音取り込み機能:オン | 最大8時間 |
AAC | オフ | 最大12時間 |
SBC | ノイズキャンセリング機能:オン | 最大8時間 |
SBC | 外音取り込み機能:オン | 最大8時間 |
SBC | オフ | 最大12時間 |
LC3 | ノイズキャンセリング機能:オン | 最大7時間 |
LC3 | 外音取り込み機能:オン | 最大7時間 |
LC3 | オフ | 最大11時間 |
SONY WF-1000XM5の操作方法
- 外音コントロール/Quick Access
- 1回タップ: ノイズキャンセリング⇄外音取り込み⇄オフ
- 長押し: クイックアテンション(押している間、外音取り込み)
- 再生コントロール
- 1回タップ: 再生・一時停止
- 2回タップ: 次の曲
- 3回タップ: 前の曲
- 長押し: 音声アシスタント起動
- 割り当てなし
- 操作無効
- 音量コントロール(リピート操作)
- 左4回;音量ダウン(4回タップ後の1タップで音量1つダウン)
- 右4回:音量アップ(4回タップ後の1タップで音量1つアップ)
※「音量コントロール(リピート操作)」はどの操作パターンでも操作可能
前作より小型化したけど評判の悪い本体
は最近のSONY製品と同様、環境に配慮したエコなパッケージング。箱の外側を覆っているカバーだけでなく箱自体も紙製なので丁重に扱わないとすぐにボロボロになりそう。同梱物は以下。
- SONY WF-1000XM5本体
- イヤーピース
- USB Type-A to Type-Cケーブル
- 取扱説明書
- 製品サポートの概要
後でも触れるイヤーピースは前作のM4のものから変更されており、さらにSSサイズが追加されたのでより耳の小さい人でもフィットさせやすくなった。なお、デフォルトでイヤホンに装着されているのがMサイズなので合計4サイズ付属することになる。
イヤーピースはウレタン素材のフォームタイプなので遮音性は高いがシリコン性に比べて劣化が激しい。遮音性を取るか耐久性を取るかは見極めどころ。個人的には遮音性を重視したい。
M4と比べてかなりコンパクトに
は前作のSONY WF-1000XM4からイヤホンの本体が体積比で25%ほど小型化しかなりコンパクトになった。M4は耳からかなりはみ出るしかなり大ぶりな印象だったこともあり小型化はありがたい。
イヤホン本体だけでなくケースも小型化しており、高さはM4より高くなったが全体的なコンパクトさはM5の方が上。
厚みが少なくなった分ポケットに入れてもそこまで目立つことがないのがは良い。
裏面の光沢ツルツル仕様はデメリットしかない
ただ、M5の筐体の裏面が光沢仕上げのツルツル仕様になったせいでかなり不評。先行レビュワーもこの点に触れているのでやはりみんな思うことは同じ。光沢仕上げのツルツル仕様のデメリットは以下。
- 安っぽい
- 滑りやすい
- 皮脂汚れが目立つ
- 皮脂により余計に滑る
逆に光沢仕上げにすることで得られるメリットがいまいちわからないが、コスト面や装着感が関係しているのだろうか。
ケースのフタの開閉には注意
SONY WF-1000XM5のケースとイヤホンの間の磁石の磁力はかなり弱くなっているので、イヤホンを取り出す際にイヤホンに触れるとすぐにケースから落ちそう。
そもそもケースからイヤホンを取り出そうにもツルツル仕様なのでうまくつまむことができない。一応、奥に倒せば簡単に取り出せるが小型かつツルツル仕様で落としそうで怖い。
イヤーピースは薄くなった
のイヤーピース「ノイズアイソレーションイヤーピース」は遮音性の高いウレタン素材なのに少し耐久力があるんだが、どうやら前作のM4から素材の形状を変更したようだ。
独自開発したノイズアイソレーションイヤーピースを採用。また、WF-1000XM4のイヤーピースから、ポリウレタンフォーム素材の形状を変更し、装着時の圧迫感を軽減し快適な装着性を実現します。
具体的にはウレタン部分が薄くなったような気がする。M4に付属のイヤーピースはかなり肉厚だったので耳への圧迫感が強く耳が痛くなりやすかった。一方でM5のイヤーピースは薄くなったので耳への圧迫感がかなり軽減された。
薄くなった一方で遮音性はそこまで下がっておらずノイキャン性能の高さは健在。より装着感がよくなりつつも遮音性も高い良いイヤーピースだ。
低音が響く力強い正統進化な音質
はフラグシップ完全ワイヤレスイヤホンということもあり音質は最高峰。特に低音が響いてズンズンと気持ちの良い感覚。高音もキレイに響いていくれるので全体的にバランスが良い。
んだが、低音が強すぎるような感じもあり、たまにこもって聴こえる時も。そのままでも十分楽しめるんだけど、アプリのイコライザをいじることでさらにワンランク音質が上がる。
SONY WF-1000XM4と比較すると音質が良くなったような感じはあるが基本的なテイストは同じM4の正統進化系だ。
イコライザで高音を上げるとバランスが良いかも
後で紹介するアプリではイコライザを設定することができ、イコライザで高音を上げるもしくは低音を下げることで良いバランスの良い音質に仕上がる。
イコライザでは低音から高音までの帯域ごとに手動調節も可能だがCLEAR BASS機能をつけることで通常の低音とは異なるより深みのある低音を増やすことができる。
元から低音が少し多いのにCLEAR BASSを足しても低音の歪みが生じない。CLEAR BASSはどういう原理なのか謎。
DSEE Extremeで自動で音質アップ
さらにSONY WF-1000XM5はDSEE Extremeという音質のアップスケーリング機能を搭載。この機能のおかげで高音質コーデックに非対応のiPhoneや高音質コーデックに非対応の音源でも自動で音質良く楽しめる。
ただ、DSEE Extremeをオンにするとバッテリー消費が激しくなるので、超高音質までは不要って人はDSEE Extremeをオフにしてバッテリー消費を抑えてほしい。
M4を凌駕する圧倒的ノイキャン
はSONYのフラグシップということもありノイキャン性能は高い。いや、クソ高い。M4でもかなり高いと思っていたのにM5はさらに高みにいってしまった。
食器の音も人の声もかなり軽減
ノイキャンは個々人の耳の形状とイヤーピースのハマり具合で大きく評価が分かれるが、執筆者的にはかなり強力なノイキャンという感想。飲食店の食器音や人の声がうっすら聞こえるくらいでその他の音はほぼ0。外を歩いても車の音は近づいてこないとわからない。
家だとエアコンの音はもちろん消えるしフルパワーの除湿機の音もかなり軽減されるので、作業に集中したい時のもうってつけだ。
素の状態で風切り音がかなり少ない
さらに驚いたのが風切り音低減(風ノイズ低減)で、前作のM4のようにソフト側で風切り音を減らすようなことはせずハードウェアとして風切り音が少なくなるような設計なのにかなりノイズが抑えられている。
M4の時は強い風を検知したら自動でノイキャン用のマイクをオフにして風切り音を減らしていたので風切り音を感じることはなかった。しかしノイキャン性能がガクッと落ちるのが欠点だった。
一方でSONY WF-1000XM5はそもそもハードウェアとして搭載しているのでノイキャン性能が落ちることはない。その分、多少の風切り音は感じるが音を流していれば気になることはない。
ハードウェアでここまでの風切り音低減ができるSONY WF-1000XM5はマジで感動した。
自然で使える外音取り込み
外音取り込みに関しては前作のSONY WF-1000XM4から進化している感じはない、というよりAirPods Proレベルの自然さ以外はSONY WF-1000XM5と同じレベルの自然に使える外音取り込みにとどまると思う。普通に店員と会話できるしレジの対応もできる。
また、外音取り込みは音量を変えることができるので外音取り込みの音量が気になる人は変えてほしい。さらに声以外の帯域を抑えて声をクリアに届ける「ボイスフォーカス」にも対応しているのでより会話しやすいだろう。
これまで+αの多機能アプリに対応
Sony | Headphones Connect
Sony Corporation無料posted withアプリーチ
はSONYのイヤホンやヘッドホンの管理アプリ「Headphones Connect」に対応。このアプリでは主に以下のことができる。これでも絞った方で本当はもっと細かい設定が可能。
- アダプティブサウンドコントロール設定
- 接続デバイスの設定
- 音楽の再生/一時停止・曲戻し/曲送り
- イコライザー
- フィッティングテスト
- DSEE Extremeの設定
- 操作内容の変更
- ノイキャン系の有効・無効
- ガイダンスのオン・オフ
タブ2のコンテンツ
アプリ上で接続デバイスの切り替え可能
一番左の「ステータス」のタブからSONY WF-1000XM5に接続中のデバイス一覧の確認と接続解除ができるんだが、これがめちゃくちゃありがたい。
というのもマルチポイント接続中にどちらのデバイスから再生したらいいのかイヤホンが迷った結果ユーザーの意図したデバイスから再生されない誤認識が発生する。詳しくは以下のYouTube動画で解説している。
→マルチポイントのデメリット・不便なところ。あまり知られていない真実をお話しします。
そもそも前作のSONY WF-1000XM4からこのマルチポイント時の誤認識は起きなかったんだが、アプリ上で接続解除できるともし誤認識になっても安心できる。
さらに3台目以降のデバイスと接続したい時もアプリ上ですぐに接続解除して次のデバイスに接続できる。そういう点でもアプリ上での接続設定は素晴らしい。
イコライザはプリセットも手動も自動測定も可能
SONY WF-1000XM5はプリセットのイコライザだけでなく自分で帯域を選んで作成するイコライザや半自動で測定して作成するイコライザ「ファインド・ユア・イコライザー」の3種類が存在。
簡単に音質を変えたいならプリセットを使い、ガッツリ変えたいなら手動作成、いつも聴いている音楽に合わせて直感的に変えたいならファインド・ユア・イコライザーを使用できる。
特にファインド・ユア・イコライザーは直感的に音の傾向を選んですぐに良さげなイコライザを設定できるのでおすすめ。
操作内容の変更は可能だが変わらずパターン設定
SONY WF-1000XM5では新たに4回タップの音量調節が追加された。しかし、操作内容の選択は前作SONY WF-1000XM4と同じでいまだにパターン入力にとどまる。なぁぜ?なぁぜ?
- 外音コントロール/Quick Access
- 1回タップ: ノイズキャンセリング⇄外音取り込み⇄オフ
- 長押し: クイックアテンション(押している間、外音取り込み)
- 再生コントロール
- 1回タップ: 再生・一時停止
- 2回タップ: 次の曲
- 3回タップ: 前の曲
- 長押し: 音声アシスタント起動
- 割り当てなし
- 操作無効
- 音量コントロール(リピート操作)
- 左4回;音量ダウン(4回タップ後の1タップで音量1つダウン)
- 右4回:音量アップ(4回タップ後の1タップで音量1つアップ)
※「音量コントロール(リピート操作)」はどの操作パターンでも操作可能
なので左イヤホンにノイキャン系の操作、右イヤホンに再生系の操作というように左右で操作が固定されてしまう。音量調節はどのパータンでも左右で可能だが、流石に4回タップは面倒だし誤動作も多い。
SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 3やTechnics EAH-AZ80のように1, 2, 3回タップと長押しそれぞれの設定をユーザーが自由にできるようにしてほしい。
-
【SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 3レビュー】全てが整ったイヤホン
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【Technics EAH-AZ80レビュー】音質もノイキャンも機能性もこれがNo.1な完全ワイヤレスイヤホン
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左右で自由に割り振れないことのデメリットは例えば以下。
- 他のイヤホンと操作方法が別で混乱
- ex. 長押しで外音取り込みにしたいのにできない
- 一時停止→外音取り込みの時に左右をタップする必要
特に最後の一時停止→外音取り込みの時に左右のイヤホンをタップする必要があるのが面倒。レジで対応してもらうたびに両手でいちいちタップするのは意味不明。
SENNHEISER MTW3やTechnics EAH-AZ80のように自由に操作内容を割り当てられれば、右のイヤホン2タップで一時停止、1タップで外音取り込みのように片手で済む。
いろんなガジェットブロガー・ガジェットYouTuberが声を荒げて操作方法がクソって言っているのに謎の4回タップを追加するだけなのでSONYイヤホンはまだしばらくはパターン入力を継続しそう。
一時停止と同時に外音取り込みもなし
操作方法についてSENNHEISER MTW3とTechnics EAH-AZ80を例に挙げたが、両機種ともに一時停止と同時に外音取り込みも可能。この機能は実は神機能でもはや一時停止→外音取り込みで2操作も必要ない。1回タップで済む。
SwitchBotに代表されるスマート家電と同じでこの快適さを一度でも体験したらもう逃れることはできない。
操作性の悪さに定評のあるSONYにはもちろんこの機能は搭載されておらず、一時停止→外音取り込みは1操作ずつ合計2操作が必要。左右を1回ずつタップしてほしい。
ガイダンスの音量変更が可能に
個人的に嬉しいのが通知音と音声ガイダンスの音量を変更できるようになったこと。これによって操作するたびにそこそこの音量で流れるアナウンスを小さくできる。
ただ、タップ時のポンって音が消えるわけではなく小さくなるだけ。音量調節時の4回タップが成功したかどうかの判定には使えるが、音量が希望の大きさになったかは聴いていたらわかるからガイダンスは不要。
Technics EAH-AZ80もガイダンスの音量を小さくできたものの消すことはできなかったんだが、イヤホン業界で何かしらのガイダンスを入れなければいけないとか規制があるのだろうか。
アダプティブサウンドコントロールは健在
詳しくは上のSENNHEISER MTW3の同様の機能の紹介動画でも解説してるんだけど、SONY WF-1000XM5は自分の今の行動方法もしくは今いる場所で自動でノイキャン系やイコライザの切り替えが可能。
行動方法への最適化とは上の画像のように例えば歩いている時は外音取り込みにして乗り物に乗っている時はノイキャンにするといった自動モード変更のこと。
一方でマイプレイス(今いる場所)での最適化とは下の画像のように特定の場所でノイキャン系やイコライザの切り替えが可能だ。
マイプレイスを使えばスーパーの中だけ外音取り込みにして外に出たら自動でノイキャンに戻すといったことが可能。もはや操作しなくてもある程度のモード変更ができるのが魅力的。
さらにSONYのアダプティブサウンドコントロールは位置情報の取得が上手くてかなりの高確率で正常にモード変更できる。SENNHEISERの同様の機能はモード変更されないことが多々あった。詳しくは上の動画参照。
その他のアプリ・サービスとの連携も可能
SONYイヤホンはSpotifyなどの他のアプリ・サービスと連携させることでさらに使いやすくすることも可能。例えばヒーリングサウンドを流すEndelと連携すればすぐにBGM代わりの音楽を流すことが可能。もちろんSpotifyなら普段から聴いている音楽を流すことも可能。
ただし、どれも無料で完全利用できるわけではなく無料トライアルがあって基本は有料プランってのが多い。追加の音楽サービスに魅力を感じる人は設定してほしい。
SONY WF-1000XM5を使って感じた良い点
ここからはSONY WF-1000XM5を実際に使って感じた良い点を紹介する。さすがSONYのフラグシップということもあり良い点がブッ飛んでる。
圧倒的のノイキャン性能
SONY WF-1000XM5は公式サイトで世界最高ノイキャンと謳うノイキャン性能だが、マジでノイキャン性能が高い。ほとんどの音が消えて、外で使った時は身の危険を感じる。
さらにガヤガヤした飲食店でも使ったんだが厨房の食器の当たる音や店員の音が少し聴こえるくらいで、その他の音はほぼ0。前作のSONY WF-1000XM4やTechnics EAH-AZ80のノイキャンもすごかったがM5はこれらを超える。
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【SONY WF-1000XM4レビュー】神とゴミのハーフ&ハーフ
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付属のフォームタイプのイヤーピース「ノイズアイソレーションイヤーピース」の遮音性も相まってマジで最強。みんな一回試してほしい。
素のノイキャンで風切り音低減が効く
SONY WF-1000XM5には機能としての風切り低減は搭載されていないがハードウェアの構造的に風切り音はほぼ聞こえない。ちょっとボウボウって音はするがかなり小さめ。
前作のM4ではアプリ上でノイキャンと風切り音低減つきのノイキャンを選択でき、風切り音低減つきのノイキャンでは強い風が当たったらノイキャンマイクを一部オフにして風切り音を減らすことができた。
ただ、M4の風切り音低減はノイキャンマイクの一部をオフにして風切り音低減を実現していたので、強い風が当たるたびにノイキャン性能がガクッと下がり、逆に風が弱くなったらマイクをオンにしてノイキャンが強くなる仕様で違和感があった。
一方で今作のSONY WF-1000XM5はハードウェアとして風切り音が少なくなるように設計されているのでノイキャン性能はそのままに風切り音を低減できている。
なので風が強い場所でもノイキャン性能はそのままだしバッテリー消費も抑えられるのが大きなメリット。
マルチポイントの安定性がバツグン
SONY WF-1000XM5は最初からマルチポイントに対応しており、その精度・安定性は他の完全ワイヤレスイヤホンを凌駕する。というより前作のM4からそもそも安定性は抜群だった。
どういうことかというとマルチポイントってのは再生の誤認識というのがあって、これによって意図したデバイスから音が出ないことが頻発するんだ。
例えば以下のような状況でスマホから再生してもいつまで経っても再生できないということが起こる。
- PCとスマホでマルチポイント接続
- PCで再生してから一時停止
- スマホで再生
- スマホの再生が止められる
これはイヤホン側がPCでまだ再生していると判定(認識)しているから。マルチポイントは同時に1台のデバイスからしか音楽再生できないから、PCで再生していたらスマホから再生できない。詳しくは以下のYouTube動画で触れている。
解決策としてはPCとイヤホンの接続解除・PCの音声の出力デバイスをイヤホン以外にする・PCで再度再生して一時停止するなどあるがどれも面倒。
しかしSONY WF-1000XM5/M4のマルチポイントではこの誤認識が起きたことがなく安定性が抜群。他のブランドもSONYのマルチポイントを見習ってほしい。
SONY WF-1000XM5を使って感じた微妙な点
続いてはSONY WF-1000XM5を使った感じた微妙な点を紹介する。いくらSONY最高のイヤホンとしても微妙に感じる部分は多かった。
操作内容の変更がパターンのみ
これはSONYイヤホンあるあるだが操作内容をパターンでしか選択できない。いつまでこんな意味不明なことをしているのか謎だが前作のSONY WF-1000XM4から進歩していない。
このパターン入力で一番面倒なのが外音取り込みを使った会話や対応。例えば執筆者の場合、左イヤホンでノイキャン系、右イヤホンで再生系の操作を割り振っているんだが、会話する時には以下のステップが必要。
- 右1タップで一時停止
- 左1タップで外音取り込み
- (レジとかの会話)
- 左1タップでノイキャン
- 右1タップで再生再開
いちいち右イヤホンと左イヤホンをタップしないといけない。マジで無駄な操作でしかない。仮に1, 2, 3回タップと長押しの割り当てが自由なら右イヤホンだけで完結など楽な操作が可能。
一応、前作のM4からの進化点として音量調節はどのパターンでも操作できるように4回タップの操作ができるようになった。しかし、そもそもパターン入力やめろよ。
4回タップの音量調整がやりづらい
で、その4回タップはお察しの通りやりづらい。今までのイヤホンで4回タップなんてほぼしたことないし、歩いてる最中に複数回のタップは誤動作のきっかけになる。
さらにタップするタイミングがシビアで「ポンポンポンポン」とテンポよくタップしないと「ポンポンポン(3回タップ判定) ポン(1回タップ判定)」と2種類の操作判定になる。使いづらい。
また、4回タップしてから1回タップするごとに音量が1つダウン(左)もしくは1つアップ(右)するんだが、これも連打しないといけないから面倒。そもそもパターン入力やめろよ。
イヤホン本体がツルツルで滑りやすい
これは意見が分かれてるけどSONY WF-1000XM5は表側はマットな加工だが裏側はツルツルとして光沢のあるデザインに変更。このデザインと小型が相まってイヤホン本体を滑り落としそうになる。
しかもケースとイヤホンのマグネットの磁力が弱くてケースの蓋を開けるだけでイヤホンが落ちそうにもなる。ちゃんと開けてもツルツルの面を持たないといけないから滑りやすくて危なっかしい。
そしてツルツルなデザインが裏側なので耳の脂がいい感じにテカって不衛生に見える。まあ逆に言えば不衛生に見えるし脂でより滑りやすくなるから頻繁に拭くきっかけにはなる。
レビューまとめ
ということで最終的なSONY WF-1000XM5のレビューまとめは以下。SONY WF-1000XM4の高レベルさをさらにブラッシュアップさせた最強の名に恥じないイヤホンだ。
特にフォームタイプのイヤーピースと圧倒的なノイキャン性能で静寂を手にできるので電車での移動中や作業中もノイズを気にせず作業に没頭できる。
その反面、イヤホン本体の謎のツルツル仕様と解消されないパターン入力という操作性の悪さはデメリットに感じる。ただ、これらも慣れるか諦めるかしたら使えるのでトータル的には高評価。
良い点
- 圧倒的のノイキャン性能
- 素のノイキャンで風切り音低減が効く
- マルチポイントの安定性がバツグン
微妙な点
- 操作内容の変更がパターンのみ
- 4回タップの音量調整がやりづらい
- イヤホン本体がツルツルで滑りやすい
これは最高のイヤホン(良い意味でも悪い意味でも
今回はSONYのフラグシップイヤホンのSONY WH-1000XM5をレビューした。さすがSONYということで音質もノイキャンも外音取り込みもその他の付加機能も高品質にまとまっているイヤホンだった。
4万円オーバーという意味不明な価格帯なのに操作性がクソという微妙な点もあるものの、ノイキャン性能と小型軽量と響く低音が欲しい人にはうってつけだ。
また、M5が出たことで前作のSONY WF-1000XM4が安くなる可能性もあるので、この機会に型落ちのM4を狙ってみるのも1つの手だろう。
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【SONY WF-1000XM4レビュー】神とゴミのハーフ&ハーフ
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Technics EAH-AZ80やSENNHEISER MTW3との比較もする予定なのでTwitterX(@m_ten_pa)やこのブログ、YouTubeはチェックしてほしい。
完全ワイヤレスイヤホンの性能グラフ
イヤホン名をシングルクリックで非表示、ダブルクリックで単発表示。
初期表示の3機種は個人的ベスト3(音質、ノイキャンなどの性能、使いやすさなどを考慮)。
風切り音低減機能(風切り音の防止機能)搭載の完全ワイヤレスイヤホンのノイキャンは、風切り音低減オン状態の数値にしている。
性能 | Jabra [Elite 75t] | Galaxy [Galaxy Buds Pro] | AVIOT [TE-D01t] | Nothing [Ear(1)] | SONY [WF-1000XM4] | Jabra [Elite 85t] | Jabra [Elite 7 Active] | XROUND [FORGE NC] | Anker [Soundcore Liberty 3 Pro] | Noble Audio [FALCON ANC] | SENNHEISER [MTW 3] | SOUNDPEATS [Mini Pro] | SOUNDPEATS [Capsule3 Pro] | SOUNDPEATS [Opera 05] | SOUNDPEATS [Opera 03] | HHOGene [GPods] | Technics [EAH-AZ80] | EarFun [Air Pro 3] | Xiaomi [Buds 4 Pro] | QCY [ArcBuds HT07] | SONY [WF-1000XM5] | Jabra [Elite 10] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
本体再生時間(ANCあり) | 5.5 | 5 | 12.6 | 4 | 8 | 5.5 | 8 | 9 | 6 | 6 | 5 | 5 | 5.5 | 6.3 | 6.3 | 3 | 7 | 7 | 6.3 | 7 | 8 | 6 |
本体再生時間(ANCなし) | 7.5 | 8 | 18 | 5.7 | 12 | 7 | 10 | 11.7 | 8 | 8.5 | 7 | 7 | 8 | 9 | 9 | 5 | 9 | 9 | 9 | 8 | 12 | 8 |
ノイキャン低音 | 7 | 6 | 5 | 4 | 9 | 8 | 7 | 6 | 8 | 6 | 7 | 6 | 7 | 8 | 8 | 5 | 9 | 7 | 9 | 7 | 10 | 9 |
ノイキャン高音 | 4 | 5 | 4 | 4 | 8 | 6 | 7 | 4 | 6 | 4 | 5 | 4 | 4 | 6 | 6 | 6 | 8 | 7 | 8 | 6 | 9 | 8 |
外音取り込み | 9 | 5 | 4 | 4 | 7 | 8 | 8 | 5 | 7 | 5 | 7 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 7 | 6 | 8 | 7 | 8 | 7 |
ドライバーサイズ | 6 | 11 | 10 | 11.6 | 6 | 12 | 6 | 7 | 10.6 | 10 | 7 | 10 | 12 | 12 | 12 | 10 | 10 | 11 | 11 | 10 | 8.4 | 10 |
音質低音 | 8 | 7 | 6 | 6 | 9 | 7 | 7 | 6 | 7 | 8 | 7 | 7 | 6 | 7 | 7 | 5 | 7 | 7 | 6 | 7 | 9 | 8 |
音質高音 | 5 | 7 | 5 | 4 | 7 | 7 | 6 | 6 | 4 | 8 | 8 | 5 | 7 | 8 | 7 | 4 | 8 | 5 | 6 | 7 | 7 | 8 |
操作性 | 8 | 5 | 7 | 3 | 2 | 8 | 7 | 6 | 8 | 5 | 9 | 5 | 5 | 5 | 5 | 7 | 9 | 8 | 2 | 7 | 5 | 7 |
アプリの使いやすさ | 8 | 5 | 4 | 3 | 6 | 8 | 7 | 6 | 8 | 6 | 8 | 6 | 5 | 5 | 5 | 7 | 8 | 6 | 3 | 6 | 7 | 8 |
付加機能 | 5 | 5 | 5 | 4 | 8 | 6 | 5 | 8 | 6 | 5 | 8 | 4 | 4 | 4 | 4 | 7 | 9 | 4 | 4 | 5 | 8 | 6 |
防水(IPX○) | 5 | 7 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 | 7 | 4 | 4 | 4 | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 |
防塵(IP○X) | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 5 |
デザイン | 6 | 7 | 4 | 8 | 7 | 6 | 7 | 7 | 7 | 8 | 9 | 6 | 6 | 8 | 8 | 7 | 8 | 6 | 7 | 6 | 5 | 7 |
ランキング | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 3 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 1 | 2 |